冷めても美味しいお弁当講座・サブのおかず編A
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てくれる。
「こっから本格的な味付けだ。今日はにんにく醤油に軽く胡椒で」
今日はちょっと豪勢に、俺の手製のにんにくのたまり醤油漬けの醤油タレと胡椒を少々。鍋肌から醤油を垂らしてやればこがし醤油のいい香りが立ってくる。
「よし、こんなモンかな」
「うわぁ……美味しそうです!」
基本の野菜炒めの作り方はこんな感じだ。後はベーコンをハムやウィンナーに変えてみたり、野菜の品目を変えたりしてレパートリーを増やせばいい。
「大分解ってきました。後は気を付けた方が良いことってあります?」
「そうだな……おひたしとか和え物は入れたりするか?」
「たまに入れたりしますね。カズ君に汁が漏れてたって怒られた事がありますけど……」
と苦笑いする五月。意外とこのテの悩みは多いよな。
「和え物やお浸しは、味付けをしてから水気を絞った方がいい。調味料の塩分で、更に野菜から水が出るからな」
ほうれん草のお浸しを例にとってみよう。お浸しは茹でたほうれん草を流水にさらして冷まし、ギュッと絞ってから味付け、盛り付けて完成だ。……しかし、ここに落とし穴がある。料理をする奴なら半ば常識だと思うが、食材…特に野菜類は塩をすると水分が出る。当然、しっかりと絞ったお浸しのほうれん草も例外ではなく、味付けに使った醤油などの塩分に反応して水分が出てくる。これを絞らずに弁当箱に詰めてしまうために液漏れが起きやすい。だからこそ俺は、味付け後にもう一度絞る事をオススメしたいのだ。
「でもそれじゃあ、味も抜けちゃうんじゃないですか?」
「お浸しにして暫く置いておいて、味を染み込ませておけば絞ってもそれほど味は落ちねぇぞ。一度試してみるといい」
煮物にも同様の事が言える。詰める前は大丈夫だと思っていても、時間経過で中から水気が出てくる。これを防ぐには詰める前に茶漉しに乗せて水分を切ってから詰めるといい。
「成る程……勉強になりました!これでカズ君のお弁当作ってみます!」
「あぁ。旦那さんによろしくな」
そう言って五月は足早に鎮守府を後にした。今日は事前にホテルを取っておいたらしい。数ヵ月後、沢山の艦娘達に囲まれた五月の写真つき葉書が送られてきたのは、また別の話。
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