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提督はBarにいる。
■冷めても美味しいお弁当講座・メインのおかず編A
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加えてよく混ざったら完成。……解ってるとは思うが、グルテンが出来ないように混ぜ過ぎは禁物だ。

「そういえば、何で衣にマヨネーズを?」

「衣の味付け、って意味もあるんだが……何より衣に少量の油分を含ませるってのが重要なんだ」

 揚げ物というのは、熱された油の中で衣の水分が抜ける事であのサクサクとした食感が生まれる。しかし中の具材にも火が過剰に入ってしまい、具材本来の美味しさを損なってしまう場合もある。そこで衣に油分を含ませる事により、更に衣の水分が抜けやすくなって揚げ時間を短縮出来るのだ。

「じゃあサラダ油でよくね?って話になりそうだが、サラダ油だと水に反応して上手く馴染まなくてな。そこで思い付いたのがマヨネーズだった、ってワケよ」

「成る程〜。……あ、そろそろ揚がりそうですね。揚げ網を準備します」

「あ〜待て待て、揚げ網じゃなくキッチンペーパーを支度してくれ」

 これも弁当用にする為のポイントだな。油を切る時はキッチンペーパーで。揚げ網だと衣が吸ってしまった余分な油が衣の中に残り、時間経過で染み出してきた具材の水分と混じってベチャッとした揚げ物になりやすくなる。その点キッチンペーパーはしっかりと油を吸い取ってくれるので、冷めてもベチャッとなりにくい。これは天ぷらに限らず揚げ物全般に使えるテクニックだな。

「じゃあ早速ちくわの味見を……熱っ!」

 揚げ立てでまだジュウジュウ言ってる磯辺揚げを摘まみ上げようとして熱がる五月。まったく、そそっかしいのはでかくなっても変わらねぇなぁオイ。

「気を付けろよ?……しっかし、昔からおっちょこちょいが治らねぇなぁお前はw」

「なっ、そんな恥ずかしい事言わないで下さいよ〜っ!」

 顔を真っ赤にして反論してくる五月。そんな会話をしている間に、磯辺揚げも程好く冷めただろう。

「お先っ!」

「あ、ずるい!」

 機先を制して磯辺揚げを一口。衣から香る青のりの風味に納豆の味がよくマッチする。そこに魚肉の練り物独特の旨味が追いかけてやってくる。これがまた納豆に合う。そして衣のマヨネーズの仄かな風味もまた絶妙なバランスで合う。そして間違いなく、ご飯に合う味だこれは。

「ん〜!美味しいですねぇこれ、衣にカレー粉を入れても美味しそうです」

「おぉ、カレー磯辺揚げか。それもいいかもなぁ」

 カレー磯辺揚げか、後で試してみよう。……さて、お次はどうしたものか。




「あの……提督」

「あん?どうした」

 おずおずと口を開く五月。少し喋りにくそうに口を開いた彼女の口から出たのは、

「出来たら冷めても美味しく食べられる卵焼きを教えてもらいたいんですが…」

 さぁ来たぞ、お弁当の定番にして難しい卵焼き。水分の塊
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