6月第3日曜日・final
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お願いします!」
殺伐とした空気を変えようとしたのか、無理に声を張って皿を差し出して来たのは葛城だった。心なしか緊張が伺える表情だ。
「何を緊張してるんだ?葛城ぃ」
「だっ、だって私あんまり提督と接する事がなかったから……」
そういえばそうだったか、と思い返してみた。国産の空母としては最後発で着任した葛城は、空母連中皆の妹分のような扱いで何くれと空母の連中が世話してたっけな。……そりゃ自然と触れ合いも減る訳だ。少し反省。
「そりゃ悪かったな。しかしお前も店に顔出せば良いだろ?」
そういう交流の場としてもあのBarを活用していたんだ、俺は。そういや葛城はウチの店に来た事が無かったように思う。
「だ、だって私あんまりお酒飲めないから…!」
「んな事気にすんな。ウチの店にゃ飯が目当ての奴等も来るし、ノンアルコールのドリンクも豊富だ。その内姉ちゃん達と来ればいいさ……それより、とっととその美味そうなミルクレープ俺に食わせてくれ」
さっきから会話に夢中になっていて、目の前でトレイに置かれたままのミルクレープが気になって仕方が無かったのだ。
「わ、忘れてたっ!はいどうぞっ」
そう言って置かれたミルクレープは、クリームとクレープ生地だけの物に比べると相当に分厚い。
「成る程、中にフルーツが挟んであるのか」
「そ、そうですっ!クレープとクリームだけだと味気ないかと思って…」
上手く出来ていれば十分その2つだけでも満足できるとは思うのだが、他の人への気遣いが伺える。
「んじゃ早速……」
フォークで切り分けようとするが、フルーツが入っている分しっかりとしていて少し切り分け難い。力を込めて無理に切り分けると、少し形が崩れてしまったがこれはご愛嬌って奴だろう。切り分けた一口分を口へ運ぶ。
「……うん、美味いじゃないか」
クレープ生地も焦げる事なく焼けているし、フルーツが入っている分クリームをさっぱりさせて調整している。挟んであるフルーツもイチゴに缶詰の黄桃、緑のは……キウイか。酸味と甘味のバランスがちょうどいい。食べていて飽きの来ない、食べやすいスイーツに仕上がっている。
「ほ……ホントにホントですか!?」
「俺は味に関して嘘ついた事がねぇのが自慢なんだ、疑うなっての」
実は葛城のスイーツ作りの腕前に関してはある程度聞き及んでいた。瑞鶴が自慢気に話してくれていたからな。しかし大したもんだ……大戦末期のあの辛い時期を経験しながらも、ここまでの物を作れるようになるとは。
「提督さん!次は私達の番だよ!」
大トリは発案者でもある睦月型という訳だ。ガラスのボウルに入っているのは……トライフル、か?
「しかしまたマイナ
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