6月第3日曜日・15
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そう言うと、MOTOZAKEを80mlにカシスシロップを15ml加え、ミキシンググラスに注いだ。そこに炭酸水を80ml注いでいき、炭酸の泡を逃がさぬように軽くステアした。それをシャンパングラスに移したら完成らしい。
「どうぞ、『JAPANロワイヤル』です」
「成る程な、日本酒のキールロ・ワイヤルだからJAPANロワイヤルか……」
まずは香りを味わう。カシスのフルーティな香りに混じって、ふわりと甘い吟醸酒にも似た香りが漂ってくる。カクテルでは嗅いだ事のない香りだ。続いて小量を口に含み、舌の上で転がす。……これは掘り出し物だ、と直感した。炭酸とカシスの風味でキール・ロワイヤルの表情は見せつつも、しっかりと日本酒の味もする。全くもって新しい味わいのカクテルだ。しかも風味にクセの少ない日本酒だ、色んなベースリキュールの代用になる。これ1本あればウチの店のメニューの幅が大きく拡がりそうな程だ。
「どうですか……?お気に、召しましたか?」
「早霜、この酒を定期的に注文してくれ。ウチの店に置くぞ」
即決だ。それほどこの酒に惚れ込んでしまった。これは俺にとっては最高の贈り物かもしれん。早霜も余程嬉しかったのか、見つからないように小さくガッツポーズをしているのを見つけてしまい、頬を赤らめた早霜に睨まれた。
「さぁさぁ、宴たけなわではございますが!そろそろデザートの時間なので席に着いてくださいよ!」
青葉のアナウンスが入ったのはそんな時だ。そういえばパーティだというのにケーキやデザートの類いが並んでいなかった。食い逃す訳にはいかんと海外組と早霜に席に戻ると告げ、俺は歩を進めた。
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