暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
6月第3日曜日・15
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
そう言うと、MOTOZAKEを80mlにカシスシロップを15ml加え、ミキシンググラスに注いだ。そこに炭酸水を80ml注いでいき、炭酸の泡を逃がさぬように軽くステアした。それをシャンパングラスに移したら完成らしい。

「どうぞ、『JAPANロワイヤル』です」

「成る程な、日本酒のキールロ・ワイヤルだからJAPANロワイヤルか……」

 まずは香りを味わう。カシスのフルーティな香りに混じって、ふわりと甘い吟醸酒にも似た香りが漂ってくる。カクテルでは嗅いだ事のない香りだ。続いて小量を口に含み、舌の上で転がす。……これは掘り出し物だ、と直感した。炭酸とカシスの風味でキール・ロワイヤルの表情は見せつつも、しっかりと日本酒の味もする。全くもって新しい味わいのカクテルだ。しかも風味にクセの少ない日本酒だ、色んなベースリキュールの代用になる。これ1本あればウチの店のメニューの幅が大きく拡がりそうな程だ。

「どうですか……?お気に、召しましたか?」

「早霜、この酒を定期的に注文してくれ。ウチの店に置くぞ」

 即決だ。それほどこの酒に惚れ込んでしまった。これは俺にとっては最高の贈り物かもしれん。早霜も余程嬉しかったのか、見つからないように小さくガッツポーズをしているのを見つけてしまい、頬を赤らめた早霜に睨まれた。

「さぁさぁ、宴たけなわではございますが!そろそろデザートの時間なので席に着いてくださいよ!」

 青葉のアナウンスが入ったのはそんな時だ。そういえばパーティだというのにケーキやデザートの類いが並んでいなかった。食い逃す訳にはいかんと海外組と早霜に席に戻ると告げ、俺は歩を進めた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ