6月第3日曜日・14
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「でもね提督、夕立は殆ど本気だったんだ」
時雨は淡々と、しかし本音だと解るだけの雰囲気を纏って語りだした。
「提督には金剛さんという素敵な奥さんがいる。……けどね、夕立や僕を含めて提督に思いを寄せている娘は沢山いるんだ」
「夕立は自分にとても素直だからね、提督さんへの思いが我慢できなくなってあんな行動を取ったんだと思う」
「僕も提督の事が好きだ。だけど、提督と金剛さんの関係は壊したくない。だから、僕が思いを一方的に寄せているのは……構わないよね?」
そう言いながらポケットから細長いプレゼントの箱を取り出した時雨。
「これは?」
「僕からの父の日のプレゼントさ。何がいいか迷ったんだけど、常に身に付けておける物がいいと思ってね」
「……開けてもいいか?」
黙ったまま頷く時雨。包みを解くと、中から出てきたのは万年筆だった。見た目からしてかなり高級そうだ。しかもグリップの部分に俺のイニシャルが彫ってあり、金メッキまでしてある。
「イニシャルの加工は明石さんにお願いしたんだ。僕がやると失敗しちゃいそうだったから……」
ひどく残念そうな時雨。彫れるならば自分でやりたかったのだろう。
「ありがとうな、時雨。大事に使わせて貰う」
「ふふ、良かったよ。喜んでもらえて」
そう言って時雨は再び微笑んだ。その天使のような微笑みの中、目尻に光るものが見えたのが気のせいだったのかどうか、俺には自信がない。
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