暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
6月第3日曜日・14
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るジンジャーエールはシロップ煮がベースだからサラサラとしているが、こちらはレモンの果肉や生姜の繊維質が入っているのでドロリとした口当たりだ。しかしその分生姜の辛味やレモンの酸味がダイレクトに来てサッパリと飲める。これはこれで好きな奴には堪らない味だろう。

「うん、美味いぞ曙。ありがとうな」

「べっ、別に?アンタに褒めて欲しくて作った訳じゃないわよ」

 そう言いながら曙の顔は耳まで真っ赤だ。素直じゃねぇなぁと思いつつ苦笑していると、

「司令官!ドリンクだけじゃなくて私達のお料理も味見してよ!」

 と暁にせっつかれた。はいはい、と応じつつお盆の上のポテチをつまんでパクリ。曙がごちゃごちゃに混ぜてしまったせいか、つまむ毎に違う味がする。うす塩や海苔塩、コンソメ、カレー味なんてのもある。厚みも不揃いだが、それが手作り感満載でこれまたイイ。厚目だとザクザクと、薄ければパリパリと、同じ味でも食感が違うから飽きが来ない。

「こりゃいいねぇ、美味しいよ暁〜!」

 隼鷹をはじめとする軽空母の連中も、曙のレモンジンジャーを炭酸割りにして、更にウィスキーを注いでジンジャーハイボールにして飲みながら、暁のポテチをつまんでいる。中でも隼鷹は気に入ったのか暁の頭をワシャワシャと撫で回している。

「や、止めてよ隼鷹お姉様〜!」

 ブフッ、と思わず噴き出してしまった。未だに隼鷹は暁の『お姉様』だったのか。思わぬ不意打ちだ。

「提督、今度はこっちも試してみてよ」

 時雨の差し出したのはポップコーン。だが、表面がうっすらと茶色く色付いている。

「陸奥さんが生キャラメルを作れるって聞いてね。教わりながら作ってポップコーンに絡めてみたんだ」

 あぁ、俺が教えたレシピか。キャラメルポップコーンは美味いだろうと予感はしていたが、こんな形で食べる事になろうとは。※詳しいレシピは84話を参照

「うん。初めて作ったにしては上等上等」

 ちょっと焦げて苦味が出てしまっているが、大失敗という程ではない。寧ろ初めてにしては上出来だ。

「ホントに?ホントに美味しいかい?……良かった、ちょっと心配だったんだ」

 ホッと胸を撫で下ろした時雨。甘味をリセットするためにジンジャーエールを一口煽った所で、再び口を開いた時雨の口から出たのは謝罪の言葉だった。

「ごめんね提督、さっき夕立が変な事言って……」

「あぁ、犬にしてとか何とか言うアレか?気にすんなあんなの。酔っ払い相手してりゃあ、あんなの日常茶飯事だっての」

 実際の所、酒の勢いからくる悪ふざけなのか、それとも酒の勢いを借りた本音なのかは解らんが、酔って言い寄って来る奴なんざウチの鎮守府にゃゴマンといる。後は素面でも時間と場所を弁えない嫁共とかな。

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