6月第3日曜日・12
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は、オニオングラタンスープだった。
「う〜ん……」
「ど、どうですか?」
不安そうに見つめてくる大和。何かダメ出しを求めているんだろうが、正直な所悪い所がない。玉ねぎの炒め具合も絶妙だし、大和自慢のビーフコンソメも絶品だ。
「美味いよコレ。いやマジで」
俺がそう言った瞬間、ぱあっと笑顔が輝き出した大和。とても嬉しそうにしている横で、ぶすっとしながらスープを啜っている金剛。……なんだよ、やきもちか?
「あとは『幅』だな。この味を損なわずにアレンジで品数を増やせればパーフェクトだろ」
「アレンジ、ですか……例えば?」
「そうだな…入れる野菜を増やしてみるとか、バゲットを別の物に変えてみるとかな」
オニオングラタンスープは手間がかかる割には使うのは玉ねぎ、バゲット、チーズ、コンソメと大きく分ければ使われているのは4つしかない。この4つと相性のいい具材を見つけられれば、簡単に品数は増やせるだろう。
「成る程……取り組んでみます!」
大和の表情は明るい。俺の指摘を心底楽しんでいるようだ。それとは対象的に憮然とした顔の金剛。
「なんだよさっきから。忙しく機嫌が変わるやつだな」
「darlingが皆に慕われるのはとてもいい事だと思いマス。けど……」
「けど?」
「やっぱり私の方を向いてないのは寂しいんデス……」
ケッコンではない結婚をしてからだろう。金剛は前にも増して嫉妬深くなったし、少し精神的に幼くなったように感じる。前は鎮守府のトップエースとしてだとか、金剛姉妹の長姉としてだとか、無理に我慢している事が多かった。素直になった事は大変喜ばしいのだが、その分舵取りが難しくなった。
「バカ言え、俺の最期を看取るのはお前の役目なんだぞ?それだけはお前以外の誰にも譲らねぇ。それだけでもお前は特別だろうが」
「でも、それは……」
「私が沈んだら出来ない、とでも言うつもりか?……愚問だな。俺がお前を沈めさせるような指揮なんて執る訳ねぇだろ。それに、無様だろうと泥を啜ろうと、絶対に生きて帰って来いと教えただろうが」
「そう……でしたね、すみません」
「わかりゃいいんだよ、わかりゃあ」
……まぁ、じゃじゃ馬を乗りこなすのはそれだけで楽しい物なのだが。
「うひゃ〜、お暑いお暑い」
「見ているこっちが恥ずかしくなりそうですわ……///」
そんな声の方を振り向くと、ニヤニヤと笑う鈴谷と赤面した熊野が立っていた。
「なっ、てめぇら見てやがったな!」
「そりゃあねぇ、あんだけ見せつけられちゃあ見たくなくても目に入っちゃうよそりゃ」
そう言ってケラケラ笑いながら、茶化してくるのは鈴谷。隣の
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