暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
6月第3日曜日・12
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「ちょっと!何でdarlingは鼻の下伸ばしてるデスか〜!?」

「あだだだだ!頬をつねるな金剛!」

 後ろから抱き付いたままで両頬をつねってくる金剛。仕方無ぇだろが、あんな不意打ち食らったら大概の男は顔も弛むわ。

「あらあら、相も変わらず仲のおよろしい事で」

「ホントホント、独り身の寂しいオンナ達としては羨ましい事この上ないわ」

 俺と金剛、2人揃って声の方を見ると足柄と大和が銀の盆を持って立っていた。

「よぅ、どうした2人して」

「折角の機会だから提督に私達の料理を試食してもらおうと思って!」

「それで、悪い点等があったらご指摘を頂こうかと」

 そもそも俺は美食家でもねぇんだがなぁ。……まぁ、聞かれれば答えない事もないが。

「じゃあ、そこに置いてくれ。……那智、シャンパンのお代わりを頼む」

「あ、那智姉あたし達にもお願いね〜♪」

「自分で取りに行け!」

「まぁまぁ、持ってきてあげてくだサーイ」

 金剛に宥められてブツブツと言いながらも、シャンパンの新しいボトルを持ってきてくれた那智。

「さぁ、まずは私のヒレカツからよ!」

 鼻息荒く出して来たのは、揚げたてなのだろう湯気の立ち上るヒレカツだ。食べやすいようにだろう、一口サイズでカットしてある。

「んじゃ、まずは一口……」

 サクリ、衣とヒレ肉を歯で断ち切る。う〜ん流石は足柄の得意料理と自負するカツだ。火の通りが甘くもなく、揚げすぎで焦げ臭いという事もない、絶妙な揚げ具合。下味は塩と粗挽きの黒胡椒、それにニンニクと生姜も使っているのか。俺は肉の旨味をストレートに楽しみたいからあまり下味を付けないが、これはこれで肉の臭みを取りつつ味を引き立てている。このスパイシーさが病み付きになりそうだ。

「うん、悪くねぇな。だが……」

「だが?」

「こいつぁ植物油で揚げてるだろ?カツとかコロッケ揚げるならラードだろ、やっぱり」

 ラードは豚の脂身を精製した動物性油脂で、イメージとしては臭そうだと思っている人が多いらしいが、不純物などは取り除かれているので臭みはない。それに油が酸化し難く体内に吸収されにくい上にカラリと揚がる。植物油は酸化しやすい為に体内で余分な脂肪に変わりやすく、冷めるとベッタリとした感覚になってしまうのだ。

※天ぷらは香り付けの意味もあって白胡麻油が専門店では一般的

 それにラードは何度も使えて植物油よりも長持ちする。冷えて固まれば揚げ物から零れた衣などは分離されるから、温め直して濾してやれば綺麗になる。なので俺は揚げ物はほとんどラードを使っている。

「そっかぁ、やっぱりラードの方がいいのね」

「では今度はこちらを!」

 大和が取り出して来たの
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ