6月第3日曜日・11
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き付けた腕に体重を預けてぶら下がっている。
「じゃあな親父、またその内剣術の稽古つけてくれや」
「俺もまたその内店行くからよ」
あの眼帯コンビ、見捨てやがった。畜生、おれ一人で何とかしろってか。
「いい加減に……しろっ!」
身体を捻り、勢いを付けて夕立の身体をスライドさせて前の方に持ってきて、両手で顔を鷲掴みにしてロック。
「夕立ぃ、酔っ払ってるにしても限度ってモンがあるぞぉ……?」
鷲掴みにした頭の握力をジワジワと強める。夕立の顔が徐々に青くなり始める。
「ご……ごめんなさい」
「解ればよろしい」
ちゃんと謝った所で離してやる。いつものじゃれつきのつもりだったのだろうが、恐らく酒のせいで力加減を誤ったのだろう。
「で、どうした?」
「あ……あのねあのね!今日はてーとくさんにプレゼントがあるの!」
ほぅ、姉妹からじゃなく個人的にか。
「はいこれ!開けてみて!」
「これはチョーカーか?いや、しかし似合わんだろ俺には」
「ち、違うの!これは……てーとくさんが夕立に着けるの!」
「……はい?」
「だ、だから……その、てーとくさんに首輪付けて欲しい…っぽい」
ブフッ!と背後で飲み物を噴き出す音が聞こえた。恐らく背後で聞き耳を立てていた金剛が驚きのあまり噴き出したのだろう。
「おい夕立、酔いすぎだ。やめとけ」
「ゆ、夕立は本気っぽい!夕立だと奥さんは難しいから……てーとくさんと一緒に居られるならペットでいいっぽい!」
ダメだこれ、夕立の目が本気だ。こいつはその外見に似合わず頑固な所がある。上手く説得しなければまずい事になる……主に俺が。
「あのなぁ……俺はこの鎮守府の奴等を仲間や家族だとは思っても、ペットだなんて思った事はねぇしこれからも思いたくは無ぇ」
「で、でも……」
今にも泣き出しそうな夕立の額に、全力でデコピンを弾く。
「痛い!何するの!?」
「でももクソも無ぇ。ウチはな、艦種の差別なく錬度が最大になりゃあ指輪を渡してケッコンするんだ。そうすりゃお前も嫁艦の仲間入り……何の問題も無ぇだろが」
「そうデスよ〜?けど、テートクの本当のwifeは私ですけどネー♪」
そう言って後ろから抱きついて来たのは金剛だった。身体の前に回してきたその手で、夕立の頭を撫でてやっている。
「darlingは差別なんかする人じゃないヨ〜。だから皆、ケッコンというゴール目指してfull powerで頑張るネー。夕立も同じゴールを目指すだけネ!」
「そうだそうだ。しかもお前は駆逐艦の中じゃあ一番ケッコンに近いんだからよ、焦るんじゃねぇの」
「そっか……そうだよね!わかったっぽい!」
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