6月第3日曜日・10
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なのかは判然としないが、どちらにしろ提督に計画がバレた時点で詰みである。
「今日の日付なぁ……誰かの誕生日じゃねぇし、盛大にやるなら何かのイベント事か?とは言ってもなぁ…」
さっきからブツブツと言っているが、まさか気付いていないのだろうか?
「俺の誕生日……は9月だし、暑気払いには気が早い。結婚記念日もまだ先だしなぁ……」
本当に気付いていないらしい。艦娘の事ならほぼ正確に覚えているクセに、自分の事には無頓着な所が少なからずあるこの人は、本当に気付いていないようだ。まぁ自分への興味が無い分艦娘達や仕事に愛情や情熱を向けているのだとしたら、何と無く納得してしまう気もするのだが。
「まぁいいや。思い出せないって事ぁ大した事じゃねぇんだろ。大事な事ならその内思い出すからな」
大雑把なんだか繊細なんだか解らない。十数年の付き合いがある金剛ですらコレだ。
「さぁ、そろそろ行くぞ。今日は久々のノープランの外出だからな……色々と廻ろう」
そう言ってカップのコーヒーを飲み干すと、金剛の手を取って歩き始めた。その後はゲーセンやカラオケ、映画等まるで若者の好みそうなデートスポットを回って遊び回っていた2人。やがて日が暮れた頃に比叡達から連絡が入り、パーティの支度が整ったとの事だった。
「darling、そろそろ帰りまショウ!」
「俺もいよいよ年貢の納め時か……」
「またそんな冗談言って……。darlingに危害を加えるような事は無いですから、安心して下サーイ!」
そう言って腕を組んで歩く。やがて鎮守府の玄関に着くと、金剛の妹達3人が待ち構えていた。
「お帰りなさい、司令」
「久し振りのデートは楽しまれましたか?」
「すみませんが、提督にはこれを着けていただきます!」
榛名が差し出して来たのはアイマスク。会場である食堂までは、見せたく無いという配慮だろう。
「随分と秘密主義だな。まさかのクーデターとかか?」
「まさか。クーデターならここで気絶させられたと思いますが」
「それもそうか。なら、大人しく従うとしよう」
提督は素直にアイマスクを着け、四姉妹に手を引かれて鎮守府内の廊下を進む。やがて食堂の前に辿り着いた所で、金剛がアイマスクを外す。食堂の扉は固く閉ざされているが、照明の光が漏れており、中からは沢山の人の気配を感じる。
「……俺に開けろってか?」
無言の笑顔で頷く金剛姉妹。提督がドアノブに手を掛け、扉を開け放った瞬間、爆竹の連続の様にクラッカーの音が鳴り響いた。
『お父さん、いつもありがとう〜!』
という掛け声と共に。
いつもの長テーブルは消え去り、円卓がいくつも並ぶ食堂内には、ぎゅうぎゅう詰めでこの
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