第7章 聖戦
第158話 魔が……騒ぐ
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の剃り残しであろうか、妙に青白い印象のある下膨れののっぺり顔。眼は大きくも、小さくもない三白眼。
但し、妙にぎらぎらとした光を湛えた異様な瞳であったのだが……。
う〜む、髭を生やしていないが故に、とっちゃん坊やのような印象。これならば、カイゼル髭だろうが、ちょび髭だろうが、何か年齢を示すアイテムでもなければ相手に侮られるばかりのような気もしますが。
もっとも、こめかみから顎に掛けては髭の剃り残しから青白く見えているのですが、鼻の下に関してはそのような翳りを感じる事はないので、そもそもその辺りに髭は生えない体質なのかも知れませんが。
非常にクダラナイ、更に言うと妙に太平楽な印象をジャックさんから受けた俺。但し、表面上の事態は俺の思考など考慮される事もなく緊迫感のみを増して行く。
そう、流石に王の御前で開かれるイベントに魔術師の杖を持ってこの場にやって来られた貴族など存在しない。故に、絹を纏った紳士淑女たちは事態の推移を、息を凝らして見つめるのみ。
更に、本来なら存在しても然りの衛士の類も、ここには居ない。
但し――
四面楚歌。間違いなく周り中敵だらけの状況に対して気にした風もなく、件のジャックさんが最後にタバサを見つめ、
「偽物のシャルロット姫もな」
……と、そう言葉を締め括った。
しかし、シャルロット姫……つまり、タバサが偽物?
それまで無と言う表情を浮かべていた俺が、その言葉を聞いた瞬間、僅かに眉根を寄せ少し訝しげな表情を浮かべて仕舞う。
まさか……そんな。確かに可能性がゼロではない。例えば、既に故人となって仕舞ったオルレアン大公夫人は俺が引き合わされた段階では既に正気を失っていたが故に、タバサが確実に彼女の娘かどうかは分からなかった。
確かにその可能性もゼロではないが――
一瞬、頭の中でのみ、タバサが偽のオルレアン大公の娘である可能性をシミュレート。しかし、直ぐにその疑念を振り払う。
そう、そんなはずはない。彼女自身がそんな事を絶対に望んではいないはずだから。自らが国を乱れさせ掛け、最期は殺人祭鬼。……おそらくロマリアの暗部を司る連中により殺されたオルレアン大公シャルルの残した娘であると偽っても、タバサ自身にあまり益がないから。
何故ならば、少なくとも、彼女がオルレアン大公の娘でないのなら、今の俺の立場は意味がなくなるから。将来的に彼女を自由に……。貴族や騎士などの縛られた身分から解放する約束で、俺は王太子の影武者役を受け入れたのだ。確かに俺やタバサの能力が有れば、ガリアがどのような追っ手を送り出して来ても逃げ切る事は可能だと思う。
ただ、そこまでしなければならないほど道に外れた行為を国としてのガリアが為している訳ではなく、……むしろ俺が考える正道と言うべき状態であ
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