第7章 聖戦
第158話 魔が……騒ぐ
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く出来ている訳はない。
そもそも、ここは王の御前。これから開かれる宴席に参加出来る、華やかな絹のドレスや夜会服に身を包んだ紳士淑女のみが在る事を許された場所。おそらく、この召喚の儀式の後に華やかな宴が催されるのは間違いない。
俺の記憶が確かなら、前世でもこの直後に俺の召喚が成功した祝いの催しが盛大に開かれたと記憶している。
そのガリアの王が主催するパーティに参加するには、目の前で闇を纏って立つジャックさんの出で立ちは不自然過ぎる。流石に正式なドレスコードの類はなかったと記憶しているが、それでも最低限の当たり前は存在する。例えば王の御前にあの姿。……武器を隠し持っている可能性がある黒のマント姿で現われるのは異常。
おそらくオルレアン大公によって騎士に任じられたと言う事は、本来のヴェルフォール領を治める家の家督を継ぐ事が出来ない人物。現在の身分は正式な貴族と言う訳ではない騎士……だと思う。おそらく、一代限りの騎士階級。爵位を売買する慣習が歴史上のフランスと違い存在しないガリアではこの辺りが妥当な線。
もっとも、もしかすると何処かの世継ぎの存在しない貴族の家に婿として入り込んでいる可能性もない、とは言いませんが。
例えば、太歳星君を召喚したイザーク・ポルトーのように。
まぁ、普通に考えるのなら、こんな軽輩が……実家の男爵家の名代にでもなっていない限り、国の命運を左右し兼ねない召喚の儀からの流れとなる王主催の晩さん会に呼ばれる訳はない。まして、今のヴェルサルティル宮殿にガリアに仇為す存在が自由に出入り出来るはずもない。
俺やタバサが暮らすようになってから、それまでよりも更に高い霊的な防御をここには施してありますから。
其処に。更に、かなり重要なイベントの最中にこう言う輩が現われたと言う事は、これも最初から計画されたイベントの一環と考える方が妥当。おそらく、奴の登場と共に周囲の連中がコイツを遠巻きにするような形となっているのは、そもそもコイツの周りには一般の招待客以外の連中。西か北の薔薇騎士が集められていたと言う事なのでしょう。
この後に始まる戦闘に、一般の招待客に余計な被害が及ばないように。
「そんな余裕があるのか、簒奪者ども」
正当な王から王位を奪った簒奪者とその小倅。偽の王女に――
そうやってジョゼフ、俺、イザベラを順番にこき下ろしながら見つめるジャックさん。この時、初めて奴が視線を上げた事により、目の前に現われた男の顔を確認する事が出来た。
大して特徴がある顔ではない。最近は少し減少傾向にあるのだが、それでもこのハルケギニア世界の貴族に多いカイゼル髭のような妙に先を尖らせた髭を生やしていない、すっきりとした鼻の下。ただ、こめかみから頬に掛けては髭
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