第7章 聖戦
第158話 魔が……騒ぐ
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、これは狂信者の戯言。そう言う趣旨の内容だと思う。そもそも存在していない相手からの加護などあり得ない。
……なのだが、それでもこの言葉は俺の召喚から契約――その後の聖スリーズ登場と託宣までの流れを見事に言い当てて居るのも事実。
この契約の儀にブリミル神の思いや考えなど間違いなく存在していない。聖スリーズの言っている神とは、そんな這い寄る混沌が創り出した……のかは定かではないが、それでも何モノかがデッチ上げた偽神などではなく、この世界の精霊たちが言うトコロの大いなる意志、俺が知っている言葉で表現するのなら、それは集合的無意識と言う存在の事だと思う。
そもそも精霊たちの王が、その六千年前に実在していたとされるブリミルを知らない、と言い切った。更に言うと、このガリアの祖王は伝説上でそのブリミルの子のはずなのに、その祖王の傍らに常に寄り添い、ガリア建国を助けた……と言われている聖スリーズがブリミルの事を知らないなどと言う事はあり得ない。
これは始祖ブリミルと言われている民族的英雄が、このハルケギニア世界……は言い過ぎかも知れないが、それでももう少し小さい単位のこのガリアには、本当は存在しなかった可能性の方が高い事を示唆している証拠だと思う。
但し――
「失礼ですが貴卿は?」
妙に周囲の貴族たちから浮いた……と言うか、登場した途端、遠巻きに見つめられる存在と成って仕舞った、御伽話の魔法使い風の衣装を身に纏った人物に対して問い掛ける俺。
ただ、この異常な状況。奴がこの場に現われた理由や、妙に遠巻きにされている理由についても、この問いを発する其の前になんとなく理解出来た……様な気がするのだが。
しかし――
「ジャック・ピエール・シモン・ヴェルフォール。シャルル叔父上に騎士に任じられた人物の内の一人さ」
親は確かガリアの北部の貴族、ヴェルフォール男爵。そこの五男か六男だったはずだよ。
しかし、問い掛けた相手……妙な黒い闇を纏った人物などではなく、俺の背後から聞こえて来る若い女性の声。
「まぁ、未だに処夜権を行使しているような時代錯誤の領主さまだから、本当の処、一体何人の兄弟がいるのか分からないぐらい何だけどね」
振り返った先。声が発せられたと思しき場所に居たのは、今は俺の式神、黒の智慧の女神ダンダリオンと行動を共にしている、一応、今回の人生でも俺の姉設定のイザベラ。
最初に見た時に立って居た場所から二歩、俺の方へと進んだ場所。……まるで父であるジョゼフを守るような位置に佇みながらそう続けた。
ただ、成るほどね。流石は現状、ガリアの諜報部門のトップを務めるだけの事はある。ガリアの全貴族の家族、係累の事をすべて暗記しているのか――などと考えるほど、俺のオツムは御目出度
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ