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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Eipic20-C幕間〜Their Expectation〜
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ジェイルのイライラもついに爆発し、「何故、誰も来ない!」声を荒げてしまった。しかしすぐに「いけない、落ち着かなければ・・・」深呼吸を繰り返し、冷静を取り戻した。

(正真正銘の外道であるプライソンのことだ、私たちの釈放が先延ばしにされてしまうほどの問題を起こし、本局を混乱させているのかもしれないな)

ベッドに腰掛け、ジェイルはそう考えた。単純に忘れらているのではなく、容疑が晴れていないのでもなく、釈放が遅れてしまうほどの問題をプライソンが起こして、その対応に本局が慌ただしいのだと。だが悠長に牢の中に留まるわけにはいかないと、彼は焦っていた。
地上本部への襲撃は中途半端だと。さらに何かしらの計画を企み、実行するのであろうと。ならば鉄壁を誇る地上本部と、局内でも有名な魔導師が揃う機動六課を陥落させた後、プライソンは何を仕出かすのか、と考えているからだ。

(碌なものではあるまい。何か大きな爪痕を残すために、奴は有する知識や技術を総動員するだろう。その先にあるのは多くの絶望のみだ・・・)

それからジェイルは想定される最悪な事態を数通りと考えてはその解決法を打ち出し、展開した空間モニターにメモを取っていく。ジェイルらスカリエッティ家は通信や念話などの他者との交信は禁止されているが、今のように軽い作業は許されていた。最高評議会の計らいでもある。ただ拘留するだけではジェイルの知恵や知識を無駄にすると考えているからだ。最高評議会にとって、プライソンはすでに用済みだが、ジェイルはまだまだ利用価値があるのだ。

「・・・ん? ミッドはもう朝か・・・」

8時間ほど作業に没頭していたジェイルは時刻を確認して、「全てが終わるまで私は黙って待つしか出来ないのか・・・?」大きく溜息を吐いた。何せ襲撃事件が発生してから丸1日近く、彼を拘留している牢に局員が来ないからだ。

「頼む。私をここから出してくれ・・・。私に機会を、私の片割れを止めるための・・・」

そんな悲嘆に暮れているジェイルの耳に、コツコツと靴音がゆっくりと近付いて来るのが聞こえてきた。彼はゆっくりとベッドから立ち上がり、スライドドアへと歩み寄って行く。靴音は徐々に大きくなってくる。そして・・・

「(止まった・・・?)ようやく釈放かね? 随分と待たせてくれるじゃないか。よほど忙しいのか、それとも私の存在はサラッと忘れられてしまうほど希薄なのか、どちらだろうね」

靴音がジェイルの居る牢の前で止まったことで、彼はこれまでの扱いからつい皮肉を漏らしてしまった。だがドアの向こう側に居る誰かは気にも留めないようで無言。そしてそのままパネルのキーを打つ音が聞こえ始める。

「すまない。気が立っていたんだ。・・・ありがとう。1つ注文したいが、地上本部や本局は今、どういう状況なのか教え
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