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Eipic20-C幕間〜Their Expectation〜
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次元の海に浮かぶのは巨大な船でもある時空管理局、その本局。その中にある拘置所エリアの一室にて、紫色の髪に金に輝く瞳を持つ1人の男が「おのれ・・・!」怒りを露わにして、ガツンと壁を殴っていた。彼の名はジェイル・スカリエッティ。通称ドクター。本局・第零技術部の部長を務め、少将の階級を有している。

「まさか本当に地上本部を、はやて君たちの機動六課までをも攻撃するとは・・・!」

彼が観ているのは、プライソン一派によるミッドチルダ地上本部と機動六課への襲撃事件のニュースだ。地上本部の敷地内周辺には、コンテナミサイル・グレンデルによって破壊されて崩れてきたセントラルタワーの瓦礫、それにガジェットや死体兵器であるLASの残骸が数多く転がっている。しかしLASだけはモザイク処理が施されている。人の死体が素体なため、腐ってドロドロな臓物や血液が撒き散らされているためだ。その所為で外部警備担当の局員の半数がトラウマを植えつけられてしまった。

「やはり私が・・・同じスカリエッティである私が・・・プライソンを、兄を止めなければ・・・!」

ジェイルとプライソン。共に“檻”を意味する名前を与えられた2人は、最高評議会によって人工的に生み出された存在で、無限の欲望アンリミテッドデザイア・ジェイル、無窮の強欲エターナリーグリード・プライソンとうコードネームを与えられている。
開発順ではプライソンが兄、ジェイルが弟となるが、2人が直接顔を合わせて話したことなど一度もなく、生み出されてからの数十年の間に言葉を交えたのは数回かつモニター越しで、しかも音声のみの加工済みときているため、ほぼ赤の他人だ。

「報道規制がなされているのか? プライソンなら局を煽るような声明くらい出しそうなものだが・・・」

正しくその通りだった。プライソンは声明を出したが、その内容が管理局にとって非常にまずいものだったため、本局はメディアに流出しないように必死になって規制している。

(どちらにせよ、私がこうして拘留されている間に起こった事件だ。誤認逮捕として私や娘たちの拘留もじきに解除されるだろう。ここから出られたらすぐにプライソンをこの手で・・・)

グッと握り拳を作るジェイル。プライソンが正体不明だからという事もあり、ジェイルのそのずば抜けた知能と技術からプライソンだという疑いによってこうして拘留されている。彼だけではなく、シスターズと呼ばれる彼の娘たちもまた拘留中だ。自分たちの疑いがすぐにでも晴れ、ここ拘置所から出してもらえると考えていたが・・・

「遅いな。もう日を跨いでしまうじゃないか・・・」

待てど暮らせど一向にジェイルを牢から出しに来る局員が来ない。ジェイルは苛立ち気に室内をウロウロと徘徊し続ける。そしてとうとう時刻が管理世界標準時間での0時を回った。
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