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提督はBarにいる。
山雲農園の春野菜スペシャル!その1
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「山雲、その言い方は止めとけ。そりゃ水商売の姉ちゃん達の呼び方だ……」

「え〜そうなんですか〜、気を付けま〜す」

 解ったのか解ってねぇのか、良く解らなくなる返事だ。まぁいい、とりあえずビールだ。山雲には中ジョッキ、大和と武蔵には男前ジョッキに注いでやる。無論、俺の分も忘れずにな。

「ホレ、乾杯」

「「「かんぱ〜い!」」」

 4つのグラスが打ち鳴らされ、飲み会が始まった。まずは小手調べとお通しを出してやる。

「おぉ、じゃがバターか。こいつは美味そうだ」

 嬉しそうに両手を擦り合わせる武蔵。新じゃがは瑞々しくて煮崩れしやすいからな、皮付きで十字に切れ目を入れたら、蒸かして塩・胡椒。そして割れ目に熱い内にバターをポトリ。もうこれだけでご馳走だが、

「こいつをのっけても美味いぞ?」

 そう言ってイカの塩辛、酒盗、ほぐした明太子とたらこマヨネーズを出してやる。じゃがいもの品種は男爵……火を通すとその豊富なでんぷん質のお陰でホクホクとした食感になり、ねっとりとしたメークインよりも淡白な味になる。フライドポテトやコロッケ等、いもをガツンと味わいたい料理向けだ。

 まだ湯気の出るじゃがバターを、熱がりながらも手で食べやすく割り、上に追加で乗せるもよし、そのままかぶりつくもよし。

「土の香りがする……とっても美味しいです!」

 大和はまずそのままかぶりついたようだ。皮付きで蒸かしてあるからな、皮に染み付いた土の香りがいいアクセントになる。

「おぉ……イモと塩辛がこんなに合うとはな」

 武蔵はイカの塩辛を乗せたらしい……流石は酒飲み。塩辛の濃厚な味とイモの淡白ながらもどっしりとした独特の旨味が合わさると、絶妙だ。これがまたビールに最高、幾らでも飲める。

「美味いか?山雲」

「ほっひぇもほいひいれふ〜♪」

 口一杯に頬張っているのか、言葉になっていない。そんな山雲を可愛らしく思いながら俺も一口。俺は鰹の内蔵の塩辛、酒盗を乗せて。イカの塩辛よりも塩気もクセも強いのだが、それをじゃがいもの淡白さがまろやかにしてくれる。良さを打ち消すのではなく、更に引き立てる形で。……うん、これはいい。日本酒にも合いそうだ。

「さぁ、まだまだ料理はあるからな?」
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