702部分:第百二話 ゲヘナの神その四
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第百二話 ゲヘナの神その四
「所詮はな」
「戯言だというのか」
「それ以外の何者でもない」
ドーマの言葉は続く。
「人に必要なものは戦いだ。永遠に続く戦いの中で己を磨きそのうえで強くなっていくものだ。それこそが人のあるべき姿なのだ」
「戦いの中でか」
「そうだ。何度も言おう」
やはりドーマは表情を消して述べるのだった。
「それはだ。何度も言おう」
「どうやらだ」
アルデバランはドーマの言葉をここまで聞いて述べた。
「貴様等と我等の決定的な違いはそこだな」
「そうだな。我々は慈しみなぞ知りはしない」
「あるのは戦いだけか」
「そしてアーレス様への忠誠と同士達への連帯感だ」
そうしたものはあるというのだ。
「だが。慈しみというものなぞ持ちはしない」
「あくまで戦うだけだな」
「その中で己を鍛え磨いていく」
こう話していくのだった。
「それが我等狂闘士だ」
「そして今の拳も」
アルデバランとドーマの攻防は今も続いている。その中で言葉を交えさせている。拳と拳が打ち合い光と光となって消えていっている。
「まさにそうだな」
「そうだ。この拳も鍛え上げられていったもの」
まさにその拳こそがというのだ。
「わかったな」
「一つ言っておく」
アルデバランの言葉がここで変わった。
「我等聖闘士の拳もだ」
「どうだというのだ?」
「鍛え上げられていったのもだ」
まさにそうしたものだというのだ。
「だがそれはだ」
「何だというのだ?貴様等の拳は」
「人の為の拳だ」
「人の為か」
「アテナが護る人の為のものだ」
まさしくそれだというのだ。
「そしてアテナの為でもある」
「そして慈しみがあるというのだな」
「その通りだ。人の為の拳だ」
「では。そのどちらが勝つかだな」
「タウラス、貴様はその護るものの為に、そして慈しみをその拳に込めているのだな」
「そういうことになる。人は護るものがあればだ」
アルデバランの言葉が強いものになっていた。そこには確かな強さがあった。
「人は強くなれるのだ。鍛えられるのだ」
「ではだ」
再び拳が打ち合う。
「この拳と拳、どちらが強いかだ」
「このまま確かなものとするか」
「いや、違う」
それは違うと。ドーマの言葉が変わってきたのである。
「それは違うな」
「ではどうだというのだ?」
「拳だけではない」
そうだと言ってきたのだ。アルデバランを見据えながらだ。二人の周りにはそのまま無数の拳と拳が打ち合い続け光の炸裂となって次々と出ては消えていた。
「このドーマの最大の技をだ」
「技か」
「それを見せよう」
ドーマの言葉がさらに強くなっていた。
「今ここでだ」
「いいだろう」
光が何時の間にか消え
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