逃避行の果て 後編
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せろ」
「ダメ」
「駄目じゃねぇよ!もう大丈夫だから放せ! 」
セシリアの手を退け、上体を勢いよく起こす。
「たくっ………」
若干恥ずかしくなり、吐き捨てるように呟いた。
「…………悪いな。迷惑かけた上に寝ちまった」
「ダイジョウブ。キにしないで」
「それと…………いい歌だったよ」
今の俺を優しく包み込むような歌声で、聴いていてとても安らぐし、心地よかった。
「…………アリガトウ」
褒められたのが嬉しかったのか、頬を赤くして言った。すると、目を閉じてセシリアは再び歌いだした。
俺も目を閉じ、星空を見上げるようにセシリアの歌に耳を傾ける。
ーーー−−
しばらく探し回っていると、歌が聴こえた。路上ライブでもやっているのだろうと思ったが、なぜかその方向を目指して歩いていく。
少し歩いていくと、河川敷に出た。辺りに見渡すと、二人の人物を見つける。一人は優しい歌声で歌っており、一人は心地よさそうに聴き入っていた。
「…………ようやく見つけたと思ったら、なにやってんのよ」
遠くで二人を見つめ、微笑みながら呟く。すると、胸の奥にチクッと刺さった感覚が起きた。
?なに…………?この感覚?
よく分からない、痛みにも似た感覚を抑えようと胸に手を当て、深呼吸をする。落ち着いたところで前を向き、二人の元へと向かっていく。
「〜〜〜♪………あっ、マヒル」
「…………アマネ……」
歌っていた人物…………セシリアさんは私に気づき、歌うのを止める。そして、目的の人物である、彼…………カグラ君は、私を見ると安堵の表情をし、晴れ晴れとした笑顔になった。
「…………無事でよかった、アマネ」
「…………おかげさまでね」
カグラ君の隣に移動し、芝生の上に座り込む。
「散々探し回ったわよ。セシリアさんの歌声が聴こえなかったら、このまま別の所に行くところだったわ」
「あー…………悪い。迷惑かけちまって。けど、お前が相変わらずの様子で、ちょっとホッとした」
「なに言ってんの?一回倒れたに決まってるじゃない」
「はっ!?マジかよ!? 」
「ダイジョウブ………? 」
「もう大丈夫よ。レイナさんが介抱してくれたから。それよりカグラ君。レイナさん…………凄く心配してたわよ? 」
「…………だよな。帰って謝んねぇといけねぇな」
「ついでに、他の皆にもよ」
「あー…………まあ、しょうがねぇな、うん」
頭を掻きながらそう言うも、その表情は嬉しそうだった。
「…………カグラ君、なんか変ね。いつもだったらひねくれた言い方をすんのに」
「流石にここまで迷惑かけたらな。そりゃ謝
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