逃避行の果て 後編
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だから、俺もそんなスゲー勝負をしてみたくなった! 」
「…………はぁ。そんなこと言う暇があるなら、まず宿題を終わらせなさい。そんで店の手伝いをしなさい」
「…………俺は本気だーーー! 」
「なら成績上げて、なおかつ店の手伝いをして小遣いを貯めて行きなさい。そしたら本気だって分かってあげるから」
「よっしゃーー!!やってやる!! 」
すぐさまテーブルの上に宿題を広げ、鉛筆を持ってやり始める。
「…………単純馬鹿でよかったわ。これで成績も上がってお店の手伝いもちゃんとやってくれるわね」
………………おい。ちょっと待ってくれ。もしかして、子供の俺が見ていたものって…………。
テレビの映像を見ようとしたが、急に視界が悪くなる。くそっ!せめてなにをやってたのか確認させてくれ!
そう思い目を凝らすも、母親の言った次の言葉に意識が向いた。
「レイ…………もしアンタが本当に、本気で天之川に行くつもりだったら、アンタの未来のために、母さんも頑張るから。だから、何があろうと、仲間と共に立ち向かいなさい」
偶然かどうかは分からないが、母親は俺のいる方へと向きながら呟いていた。
「………………ああ。分かったよ、母さん」
それに対し、静かに、だが力強く答えた。
ーーー−−
ふと気づくと、歌が聞こえる。優しく包み込むような、安らかな歌声が聞こえてきた。はっきりとしない意識も、少しずつ覚醒していく。
いつの間にか寝てたのか…………じゃあ、さっきのは夢だったんだな……………。
夢心地の状態で目を開けると、星空と、そしてセシリアの顔が見えた。セシリアは俺の頭に手を乗せ、今も歌っていた。
「…………セシ、リア? 」
「オきた? 」
歌うのを止め、セシリアは俺の顔を覗いてきた。
「…………ダイジョウブ? 」
いまいち頭が回らず、今の状況が分からない。何が大丈夫、なんだよ?…………あっ、そっか。確か、セシリアと話して泣いて、横になったら寝ちまったんだ。
「ああ…………大丈夫だ」
返事をして起き上がろうとしたら、セシリアの手で押さえられてしまった。
「まだヨコでヤスんでたホウがいい……」
「嫌、別にい───」
「 ?ドウしたの? 」
俺が何かを言おうとしたが、途中で止めた事に不思議そうにしている。その理由は、今押さえられた事により気づいた、俺の後頭部にある感触だ。
「…………セシリア。お前、今なにしてんだ? 」
「?………ヒザマクラ? 」
ああ。やっぱりそうだよな。通りでずっとセシリアが頭上に見えるし、後頭部に柔らかい感触があるわけだ。
「セシリア。今すぐ手を退けて俺を起き上がら
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