700部分:第百二話 ゲヘナの神その二
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第百二話 ゲヘナの神その二
「アテナと。人々の為にだ」
「わかった。それではだ」
「それではか」
「闘うとしよう。そして見せてもらおう」
「見るともいうのだな」
「貴様のその闘いをだ」
戦いは好まない、しかしアテナと人々の為に闘う彼をだ。あくまで見るというのである。
「見せてもらおう」
「ではだ」
お互いに構えを取った。そして。
「まずはドーマが拳を放ってきた。光の拳をだ。
「来たか」
「さあ、タウラスよ」
拳を放ってからの言葉だった。
「この拳、どう止めるか」
「そうだな」
問われたアルデバランは冷静なものであった。
「こちらもだ」
「拳を出すというのだな」
「貴様の拳が勝つか」
次にはこう言ってみせたのだった。
「このアルデバランの拳が勝つかだな」
「一つ言っておく」
ここでドーマはさらに言ってみせてきた。
「貴様が防げなければ勝つのはこのドーマだ」
「そうだな。そうなるな」
「必然的にだ、さあ」
ドーマの言葉は続く。
「どちらが勝つかだ」
「では見るがいい」
ここで遂にであった。アルデバランも拳を出したのであった。
「来たか」
「さあ、どちらが上かだ」
拳を放ったうえでの言葉である。
「貴様の拳と俺の拳のどちらかだ」
「一つ言っておく」
ここでまた言ってきたドーマだった。
「このドーマの拳はただ光の速さを持っているだけではない」
「力もか」
「何度も言うがこのドーマの力は狂闘士随一だ」
このことを言うのである。
「誰にも遅れを取ったことはない」
「そうか。それではだ」
「タウラス、貴様もだな」
「そうだ。このアルデバランもまただ」
彼もまた力を持っているというのである。
「力においては遅れを取ったことはない」
「牛は力によって成るものだからな」
「どうやらだ」
アルデバランの言葉が変わってきた。
「我等が闘うことは運命で定められていたな」
「ふふふ、それはわかっていたこと」
ドーマは今のアルデバランの言葉にはさも当然といった笑みで返してみせた。それはアルデバランにとっては意外なものであった。
「最初からな」
「最初からか」
「貴様が忘れているだけだ」
「そうか」
アルデバランとて愚かではない。それで全て察したのだった。
「そういうことなのだな」
「わかったようだな」
「我等は先の聖戦でも闘っていた」
このことがわかったというのである。
「そういうことだな」
「あの時にも貴様と闘っている」
「そうだな。そういえばだ」
「また気付いたな」
「闘いにおいて避けていることがあった」
それがあったというのだ。アルデバランもまたこのことを思い出すのだった。それは遥かな過去の記憶である。今
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