レイ 後編
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呼吸を整える。
「どこに行ったのよ…………あの馬鹿」
日も完全に沈み、顔をあげると、雲一つない夜空が広がる。
「諦めないわよ…………だから、アンタも諦めるんじゃないわよ、カグラ君」
ーーー−−
「痛ぇ…………くそっ。一発貰っちまった」
頬に出来た痣を擦りながら、歩いていく。人を殴ったおかげなのか、ごくわずかながら気が晴れた。
「…………ははっ。なんだよそれ。まるで不良じゃねぇかよ」
いや、不良よりタチが悪ぃか。実際に突っかかってきた奴等を痛めつけたしな。
「もう…………なんでもいいか」
そう呟くと、いつの間にか知らない場所に来ていた。孤児院から結構歩いてきたつもりだが、これじゃあ帰り道も分からない。
「まっ、今は帰るつもりはねぇけどな……」
孤児院があるであろう方向を一瞥し、前を向くと、河川敷が目に入る。
「少し歩き疲れたな…………ちょっと休むか」
河川敷は橋の下に川が流れ、ちょうどいい感じに芝生もある。 そこまで移動し、芝生の上に倒れる。
「…………星が見えんな」
夜空を見上げると、所々に星が見える。数は決して多くないが、今まで見てきた中でも一番多く見える。そのせいなのか、吸い込まれるように星空を見入る。
……………これからどうすっかな………。そういや、金どころか会場に荷物忘れてるじゃねぇかよ。あとで取りに行くか?いや、多分閉まって無理だろうな。
「はぁ……………」
大きくため息を吐くと、突然星空が遮られた。その代わりに、白銀の何かが視界に入った。
「ミツけた」
「うおっ!?セ、セシリアっ!? 」
目の前には、俺の顔を覗き込むセシリアがいた。
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