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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十四話 一つの決着
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それは戦闘終了を告げる合図。
男性の要望を応えた、イルの返答だった。
「興が削がれちまったなぁ……。 おっさんの言う通り、この場は譲ってやるよ」
「理解が早くて助かる。 こっちも面倒事は避けたいんでね」
「だが、ジュエルシードは俺たちのもんだ。 邪魔するなら、次は必ず殺す」
「承知した」
会話を終えると、イルは黒鐘と男性に背を向けて飛び去っていく。
イルの姿が見えなくなった所で男性はめんどくさそうにため息を漏らし、伸びをしながら黒鐘の方へ振り返る。
「……で?」
質問はそれだけだった。
言葉足らずに感じるが、黒鐘と彼の『間柄』ならではの会話だった。
なので黒鐘は質問の意図を理解し、そして理解した上で申し訳ない表情となってゆっくり答える。
「その……ちょっと事件に巻き込まれてまして」
「結界の魔法をホイホイと発動しないとならない事件がちょっとだぁ?」
「うっ……」
どうやら今までのことも知っているらしく、見事に論破された黒鐘は俯いてしまう。
黒鐘の前に現れた男性は、ことの重大さを本人の状態から全て察し、そして再び盛大なため息を漏らした。
「……坊主。 お前さん、長期休暇でここ来てんのに何してんだ?」
「それは……」
「小伊坂くん!」
「黒鐘先輩!」
「黒鐘!」
そんな黒鐘のもとへ、高町を始めとする仲間たちも集合した。
なんともタイミングが悪いような、なんというか……。
「……ほんと、お前さんは何してんだ?」
「……すみません、ケイジさん」
黒鐘は乾いた笑いをこぼしつつ、謝罪した。
小伊坂 黒鐘が属する時空管理局で執務官を勤め、黒鐘にとって長いこと仕事を共にした上司――――ケイジ・カグラはそんな部下の姿に、この日何度目になるか分からないため息を吐いた。
「……取り敢えず、全員揃ってアースラへ来い。 艦長が待ってる」
ケイジは胸ポケットからタバコを一本取り出し、口にくわえた。
――――こういう面倒な時はこれに限る。
そう思いながら、ライターで火をつけ、大きく深呼吸する。
吐き出した白い吐息が、黒くなっていく空にケイジの憂鬱と共に溶けて消えていった――――。
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