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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十四話 一つの決着
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真っ直ぐな瞳で、一切の疑いも持たずに答えてみせた。
その姿はあたしには眩しすぎるくらい真剣で、屈託がないもので。
ほんの少し……ほんの少しだけ、心を許しそうになった。
「……無理だよ、そんなの!!」
だからあたしは逃げるように吐き捨てて、走った。
彼女から逃げるように。
これ以上、彼女たちの想いに心を揺らがせないように――――。
*****
「無理……」
オレンジ色の髪をした使い魔の女性が、フェイトを連れて去っていく。
私は追わず、その背中を見つめた。
諦めにも似た『無理』の言葉に共感してしまったからなのか、その背中を見つめるとふと、懐かしい感覚が蘇ってくる。
――――魔導師としての道を断とうとしたことがある。
原因は一言。
剣の才能がなかったから。
私の家系は『逢沢流』と呼ばれる、戦乱時代から受け継がれている流派を持つ家系で、私の父が現在の継承者。
そして次の継承は姉である私になる予定だった。
だけど私には『剣を振る』と言う行為が難しい体つきをしていた。
逢沢流は剣を武器にした魔法流派。
なのに私は剣が振れず、振っても振り回されてしまうほど弱い身体をしていた。
まだ幼いからと言えば言い訳が利くし、これから成長していけば振れるかもしれない。
けど、私は諦めたいと思った。
『剣の流派に生まれた娘が剣を振れない』。
それは当時の私にとってコンプレックスでしかなかった。
剣を振れない自分が嫌いで、そんな自分を変えようと修練に取り組んだ。
必死に……ほんとに必死に、頑張った。
けど、いつまでたっても成果なんて現れなかった。
振り回す剣は重たくて、身体はいつまでたっても弱くて。
両手にいくつもの肉刺を作っては潰したけど、身体はその傷に相応しい力を身につけなかった。
――――『努力すれば必ず成功する』なんて言葉をよく聞くけど、あれは少しおかしい。
本当はきっと、『ある程度の才能を持つ人が、必要以上の努力をすれば、大抵のことは成功できる』が正しいと思う。
だけど言葉や名言はシンプルな方がかっこいいから、その細かくて大事な部分を消してしまう。
そう思ってしまうほど、私には努力ができても才能がなかった。
――――もういい。
もう、努力するのはやめよう。
両手に握るこの剣から手を離すだけでいい。
そしてもう二度と握らず、好き勝手に生きればいい。
そっちのほうが幸せになれる――――。
『もう一本、お願いしますっ!』
道場内で一際目立つ大声に、私は視線を向けた。
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