贖罪-エクスピエイション-part2/臆病教師と喪失の青年
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せいで滅ぼされた自分の村。その仇を討つためにこれまで生き続けてきた。だが、仇の一人であるリッシュモンは、同じく彼に憎しみを抱いていたウェザリーによって殺害されてしまい、アニエスは仇討ちの機会を逃してしまう。だが…アニエスの復讐はまだ終わっていない。
『実行犯』がまだ残っている。直接手を下した犯人をこの手で見つけ出すための情報を得るために、この魔法学院の地下に眠っているという『秘密公文書館』の資料を閲覧する必要がある。閲覧許可証もアンリエッタにもらった。
今度こそ…村と共に消えてしまった両親や友達、村人たちの仇を討ってみせる。アニエスは強く誓った。
「すすすすすいません!私ったらなんてはしたない勘違いを…!」
そして現在。
まさかサイトと見間違えるとは、正直かなり恥ずかしかった。サイトを驚かせてやろうと、彼からプレゼントされたセーラー服に着替えたシエスタは、サイトと間違えられてしまったシュウに謝った。今シュウはホーク3号の傍らで、工具を手に修理作業に入ろうとしている。
「別に良い」
淡々とした口調でシュウはシエスタに言った。
まるで興味も持たれてないような彼の態度に、シエスタは居心地の悪さを感じた。サイトとは本当に違う。サイトは笑顔で気さくに話しかけてくるのに、彼はなんだか冷たい印象を与えた。
「あ、あの……あなたは、サイトさんのお知り合いの方ですか?」
「……まあな」
「ええっと、その……」
話しておいてこれといった話題が見つからない。この男はサイトよりもかなり話しづらい。……そうだ、サイトのことを聞いてみよう。
「あの、あなたは……サイトさんとはどのような関係ですか?」
……自分で聞いておいてなんだが、まるで血色の換わった関係じゃないのかと問い詰めてるような言い方だ。不快に思われてないか不安を抱く。
「……最近知り合ったばかりだ」
振り返ってきたシュウはただ一言、そう答えた。
あぁ……やっぱりなんか苦手だ、この人。容姿に関してはサイトよりも整っているが、性格的にシエスタは彼を受け付けられそうになかった。しかもサイトのことにほとんど触れてこない。
だが、もう一つ気になることを発見した。
「ところで、どうして竜の羽衣に……?」
自分の曾祖父であるフルハシの形見であるウルトラホーク3号を、なぜ見ず知らずの彼が触れているのかを尋ねた。
「ここの教師の一人に、見てもらいたいと頼まれた。介抱してもらった恩もある。だからこいつの破損箇所を見ているんだ」
「介抱って……お怪我でもなされたんですか?」
「そんなところだ。最も、介抱なんて無理にされなくてもいいはずなんだが」
シュウはため息混じりに言った。この時の彼は、本調子には届いていないものの、コルベールに拾われた直後よりも十分に回復していると言えた。できればすぐ
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