贖罪-エクスピエイション-part2/臆病教師と喪失の青年
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ていますわ。十分に。これまで私はウルトラマンと怪獣の戦いの場に立っていたことがありますもの。命の危険の数なんてもう数える気にもなりませんわ」
「たまたま生き残った程度でそのようなことを…いいかね、君はただ運が…!」
「いい加減に黙れ!この臆病者が!」
しびれを切らしたアニエスが、引き抜いた剣をコルベールの喉元に突きつけ、彼を黙らせた。
「以前までなら、生徒の身の安全を考える男だと思っていたが…自分が怖いだけなのだろう?コルベールよ」
「…その通りだ。私は恐ろしいのだ。自分も、生徒も、血まみれになって死ぬ姿を想像するだけでも恐ろしい…」
「だが、戦う術を身に着けなければ、いずれ現れる怪獣や異星人といった脅威に抵抗することもできない。大切な生徒が万が一の生き残る可能性さえ封じる気か」
さらに喉元に剣先を近づけるアニエス。もはや有無を言わせる気配もなかった。彼女は生徒たちに視線を傾け、全員に呼び掛けた。
「生徒諸君、貴君らは以前、侵略目的の異星人に誘拐された者もいるだろう。その時思ったはずだ。この不届きな輩に一矢報いたいと。
なら我々銃士隊がその技術を基礎から叩き込んでやろう。これは陛下の貴君らを思うお心遣いからくるものだ。無様に死にたくないと思う者はついてこい!」
アニエスの言葉に、男女問わず、生徒たちはぞろぞろと教室を後にしていく。
「き、君たち待ちなさい!まだ授業は……」
往生際が悪いと思われてでも、コルベールは生徒たちを引き留めようとしたが、誰一人立ち止まらなかった。それどころか、キュルケをはじめとして多くの生徒たちはコルベールを、去り際に軽蔑した眼差しで見ていた。特に火のメイジは、コルベールに対して同じ火のメイジとして恥ずかしいと思えてならなかった。
結局コルベールは、最後まで教室に取り残されてしまった。
このままでは生徒たちが、レコンキスタたちとの戦いでまた苦しむ羽目になる。
そう思った彼の脳裏に、一つの…忘れたくても忘れられない記憶が蘇る。
炎に包まれた、どこかの村の景色。
多くの人たちがうねる炎の中に消えて、命を散らして行った…悪夢の記憶。
同じように、炎に包まれた景色の記憶を、思い出していた者がいた。
銃士隊の隊長、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミランである。
アニエスら銃士隊による学院の生徒たちへの戦闘訓練は、コルベールの教室から出た後ですぐに開始された。中には魔法の訓練を申し出た者もいたが、すぐにアニエスに杖を奪われて動きを封じられてしまう。敵は詠唱の隙を与えない、杖を奪われたら最期などという状況を防ぐためにも、まずは魔法に頼らない戦闘方法を教導することになった。
アニエスは彼らを見ながら、炎に消えていく自身の故郷、ダングルテールの景色を思い出す。リッシュモンの金銭目的の薄汚い企みの
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