贖罪-エクスピエイション-part2/臆病教師と喪失の青年
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に恋していた。
だが、肝心のサイトはまだ戻ってこない。さすがにここまで長いこと学院を開けてもらうようでは、せっかく彼が買ってくれたこのセーラー服とやらを着る意味がない。
はぁ…とシエスタがため息を漏らし、窓の外を見やる。
その時、彼女の目にあるものが目に入った。アウストリの広場を、黒髪を持つ若い男性が歩き去る後姿だ。
彼はその時、タルブ村から運ばれた、シエスタの曾祖父フルハシの形見である竜の羽衣ことウルトラホーク3号に向かっている。
この学院で黒髪の若い男性と言えば一人しかいない!
「サイトさんだわ!急がないと!」
いつ彼が戻ってきたのか、ルイズとハルナはどうしているのかなんて、この時の彼女にとって問題ではなかった。すぐにサイトが見たがっていた自分のセーラー服姿を披露するために、普段のメイド服から着替えてセーラー服姿にチェンジ。鏡を見てその姿を確認する。地球の人間から見れば、彼女が日本の女子学生と言っても誰もが信じることだろう。それだけ彼女にセーラー服はかなりマッチしていた。
「待っててくださいねサイトさん!」
着付けも十分だ。シエスタはすぐに部屋を飛び出し、窓の外に見えた黒髪の青年の元に急いだ。その速度はガンダールヴの力を発揮したサイトにも匹敵した。何補正か?それは各々方でイメージしてほしい。
「サイトさああああん!!」
シエスタは走りこみながら、ホーク3号の方へ歩き続ける黒髪の青年に、いっそのことびっくりさせてやろうという意図のもとで飛びついてしまった。
「!!」
しかし、黒髪の青年はシエスタの叫び声と後ろから急接近する気配を感じてすぐ、シエスタをヒョイと避けてしまう。あれ…?とシエスタが一瞬思ったのもつかの間、
「あいたぁ!!?」
シエスタは広場の芝生の上に見事なダイブを披露してしまった。
強く打ったことで、まるでトナカイのように赤くなった鼻を押さえながら、シエスタは顔を上げる。
「いったたた…サイトさん、避けるなんて酷いじゃないですか…せっかくサイトさんに喜んでもらうために、買ってくださったセーラー服というのを着てきたのに…」
しかし、帰ってきたのは謝罪の言葉ではなく、呆れたような口調の、サイトの声とはまるで異なる男の声だった。
「……さっきから誰と勘違いしているんだ。あんたは」
「…あれ?」
黒い髪は、確かに自分やサイト、そしてハルナと同じだ。けどその顔はサイトとは似ても似つかない端正な容姿。服装も黒と赤を強調としており、イメージカラーが青と白のサイトとはまるで正反対だった。腕には、サイトにあげた曾祖父の形見の装備の一つ、ビデオシーバーのような奇妙な腕輪が着いている。
シエスタは男の顔を見て、ここでようやく気が付いた。さっき見かけたのは、サイトではなかった。
行方不明になっていた黒崎修平ことシュウだ
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