第三章
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「知ることが大事なのよ」
「そうなの」
「蜂も百足もよ」
こうした毒のある虫達もというのだ。
「どんな蜂や百足かをわかって」
「まず近寄らない」
「怖く思うよりもね」
「その方が大事なの」
「そうなのよ」
こう娘に話すのだった、彼女の手を持ったまま。
「そのことを注意してね」
「わかったわ」
「あと足元には注意しろよ」
耕太は娘にこのことも話した。
「山の道は街の道と違うからな」
「土の道で」
「平らじゃないからな」
だからだというのだ。
「注意しろよ」
「そうね、本当に」
「だからこけないようにしろよ」
また娘に話した。
「シューズだから歩きやすくてもな」
「そうするわね」
「ゆっくりと確かに歩いていくんだ」
「山道は」
「そうだ、しっかりとな」
実際に耕太の足取りはしっかりとしていた、その足で歩いてだった。そのうえで。
三人で山道を歩いていった、それが終わってからだった。テントに戻ってだ。耕太と円香はセンターから借りたバーベキュー焼き機と買った食材を出してだった。
バーベキューを作りはじめる、その中で。
ふとだ、二人が作業をするのを見ていた萌葉は言った。
「あの」
「んっ、どうしたんだ?」
「何かあったの?」
「小川の方に行っていい?」
こう言ったのだった。
「今から」
「そうね」
小川がテント、自分達のすぐ傍にあって見られる場所にあるのを目で確かめてからだった。円香は娘に答えた。
「遠い場所に行ったら駄目よ」
「近くね」
「ママもパパもいるところでね」
本当にすぐ近くでというのだ。
「遊んでいてね」
「うん、それじゃあね」
「いつも見てるからな」
耕太は実際に作業をしつつも娘から目を離していない。
「じゃあな」
「うん、今からね」
「行って来い」
「そうしてくるね」
娘はこう応えてだ、そしてだった。
萌葉は川原で遊びだした、小川に手を入れたりしてだ。だがここで円香は娘を見つつこう言ったのだった。
「川に入ったら駄目よ」
「どうしてなの?」
「水着持ってきてないからよ」
だからだというのだ。
「泳ぐ用意してないから」
「だからなの」
「そう、あと川の水は飲んだら駄目よ」
こうも言うのだった。
「いいわね」
「川の水も飲んだら駄目なの」
「生水は身体に悪いの」
だからだというのだ。
「飲んだら駄目よ」
「身体に悪いの」
「バイ菌が入っていたりするから」
母は娘にこのことも話した。
「だからね」
「飲んだら駄目なのね」
「そうよ」
そこは絶対にというのだ。
「いいわね」
「うん、それじゃあ」
萌葉は母の言葉に頷いてだ、川には入らず水も飲まなかった。バイ菌が入っていると
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