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Three Roses
第二十五話 最後の言葉その十三

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「お姉様のお母様のことで」
「左様ですね」
「ですがそれは」
「マリー様にとってはですね」
「何でもないことでは」
 母が側室であり自身がその側室の子、庶子となることはだ。
「お姉様もお父様のお子ですから」
「マリー様にとってはそうでもです」
「お姉様にとっては違うのですね」
「あの方ご自身にとってはです」
 キャスリング卿はマリーに神妙な顔で話した。
「それは絶対のことで」
「だから私にもですか」
「そうされているのでしょう」 
 出自による劣等感、それによってというのだ。
「どうしても」
「それではどうすれば」
「マリー様に問題はなくともです」
「お姉様がそう思われていては」
「仕方がありません」
 これがキャスリング卿の考えだった。
「これは」
「左様ですか」
「ですが」
 今度はロドネイ公が言ってきた。
「諦めてはなりません」
「これからもですね」
「マイラ様と会われることです」
 例え相手が距離を縮めることがなくとも、というのだ。
「今はそうであってもです」
「これからはですね」
「努力は続けていきますと」
「実を結ぶものですね」
「はい、ですから」
「私もですね」
「続けていくべきです」
 絶対にというのだ。
「マイラ様とのことも」
「そしてそれが、ですね」
「王家の、ひいてはこの国の安泰にもなります」
「まずは王家が一つであるべきですね」
「はい」
 そlの通りという返事だった。
「まさに」
「王家に亀裂があれば」
「それだけで国は危機に陥りますので」
 実際にこうした話はどの国にもあった、無数の国でそうした話が起こり国が乱れてきた。この国でも過去にあったことだ。
「ですから」
「お姉様とも」
「そうです」
 まさにというのだ。
「会われて下さい」
「そうします」
 マリーの返答も決まっていた、そして。
 マリーは再びマイラと会った、この日二人は昼食の場で向かい合っていた。二人共食事と酒を飲んでいたが。
 マイラはマリーの杯を見てだ、こう言ったのだった。
「今日もですね」
「私の葡萄酒ですか」
「三色の薔薇の花びらを入れていますか」
「はい」
 その通りだとだ、マリーも答えた。
「そうしています」
「そうですか」
「やはり私にとってはです」
「その三色の薔薇を入れてこそですか」
「最も美味しいので」
「貴女とセーラ、そしてマリアですね」
 マイラはその薔薇に三人を見た、それはわかっていた。
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