〜プロローグ 〜 そして俺は東京に行く
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そして俺は視線を桜に戻した。
「じいちゃんが俺を褒めるなんて、何年ぶりだろうな」
じいちゃんはまたニヒヒと笑いながら俺の頭をワシャワシャした。
そしてじいちゃんのこと見ずに桜を見ていたのでじいちゃんがどっちを向いていたのかわからなかったが、じいちゃんはふぅとため息をした。
「お前は才能がありながら努力する。そして何より俺と決定的に違うのは優しさだな」
優しさか、俺に優しさなんてないよ。だってあの時......。
俺は気づくと下を向いていた。
じいちゃんは俺の顔を見てから、またニコッとした。
「お前、明日から東京に行ってもらうから」
は??イヤイヤ考えられないんですけど......何をいきなり、しかも香川の高校受験して受かったんですけど!え?は?
俺は考えがまとまらずにえ?え?っとずっと言っていた。
「香川の高校受かったのに?なぜ?本当にわからん」
「いいから東京行け。壊したもんあるんだろ、東京にいやお前の幼馴染か」
俺はそれを言われた瞬間時が止まったかと思った。
体が動かなかった。そしてじいちゃんも顔色ひとつ変えず、体を動かさなかった。動いているのは桜だけだ。
少し固まってから、やっと口が動いた。
「......お、俺は別に。」
壊してないなんて言えなかった。壊したのは確かに俺だ、あの弱い時の情けない時の俺だ。
壊れたものは元には戻せない。必死に直そうとしても、元には戻らない。それは俺がよく知っている。いやこの世界で学んだ。俺がよく知っているのだ。だから知っていたから俺はあの時逃げた。
「じゃあなんで遊は俺に喧嘩を習ったんだ?」
今の思ったことを聞かれたような気がした。
俺が喧嘩を習った理由......。
「復讐か?女か?金か?名誉か?」
俺は、今まで何でこの力を手に入れたか、最初しか考えてなかったかもしれない。
俺は、俺の答えは......。
俺はコクリと喉が動いたのがわかった。
「.........最初は俺は復讐を考えていたかもしれない。でも今はそんなことは思ってない」
と言うとじいちゃんはにかっと笑って俺の頭をまたわしゃわしゃした。
「ガハハ。お前なら言うと思ったさ、でも香川に来た時お前はとてつもない復讐の目だったけどな。でも今のお前はなんかそんな感じはしないかと言っていい目をしてるとは言えないな、この社会の不条理に気づいたからな」
俺の目を見ながら語った。
俺は中学1年の頃関係を壊し、いや壊されたとも言える。でも俺は今頃俺が情けないと思っている。確かに壊された。だけど、それに気づかなかった。もう俺が壊したと言っても過言じゃない。
じいちゃんは目をそらさずまた口を開いた。
「もしお前がまたあの時みたいなことにな
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