並べるような存在
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「俺が手を休める時を狙ったのはよかったが、あいにくこちらも対応済みだ」
そういってカマを担ぎ、最後のトドメを刺そうと振り上げる。
「サクラ、逃げて」
サクラじゃ私を連れて逃げることはできない。せめて彼女だけでもと思いそう言うと、彼女はこちらを振り向くことなくこう答えました。
「イヤです」
両手を広げ、私たちを見下ろす大男を見上げているサクラ。
「ウェンディさんが死んじゃったら、シリル先輩に何て言えばいいのかわかりませんから」
彼女が尊敬している師匠であり、私の恋人であるシリルのことを持ち出してくる。サクラはこの状況でも、シリルへの想いを忘れていないんだ。
「でも、どうすれば・・・」
このままじゃ私もサクラもやられちゃう。この距離じゃサクラは魔法を発動させる時間もないし、私は痛みで起き上がれない。
(あの時みたいな力を発揮できれば・・・)
フェイスを破壊する時に発動できた竜の力。今こそあれを使うことができれば、なんとかできるかもしれないのに・・・
(もっと空気がキレイだったら・・・)
あの時は空気がキレイで、エーテルナノを含んでいたからとってもおいしくて力が湧いてきた。今も森の中で空気はキレイだけど、あの時のような力を出せる条件とは思えない。
(シリルやナツさんなら、どうするのかな?)
こういう危機的状況でも、彼らならきっとなんとかできるはず。だったら、二人ならどうするか考えれば突破口が見えてくるはず。
「ならば、まずはお前から殺してやろう」
標的を私からその手前の少女へと切り替えるイネスさん。サクラはそれを見ても視線を逸らすことなく、ただ真っ直ぐに敵を見据えています。
ブルブル
普通なら恐怖で目を逸らしてしまうところ。なのに、この子はなんて強いんだろうと思っていたら、違いました。すぐ前にある彼女の足は小刻みに震えていて、死に直面したことによる恐怖を必死に押し殺そうとしているのだと感じました。
(ダメだな、私)
守ろうと思ってた人に守られて・・・ううん。いつも色んな人に守られてばっかり。それに報いることが、全然できていない。
(思い出して、あの時の感覚を)
腹部の激痛に耐えながらゆっくりと空気を吸い込んでいく。あの時ほどの力が出なくても、それに近い感覚を得られればきっと目の前の敵を倒せるはず。
『俺の・・・一番のとっておきですよ』
つい最近明らかになったシリルの本気。年齢も同じくらいで、体格もそう大差はない。なのに彼はどんどん先を行ってしまい、私は置いていかれるだけ。
『だってレオンに負けたくないもん!!このクエストを絶対成功させてみせるんだ!!』
このクエスト前に行っていた
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