SIDE:A
第十話
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「おっちゃん、ラーメン替え玉一つ!」
「じゃあ俺も」
「ふむ、では妾ももらおうかの」
「あいよぉ!」
今日は休日のため学校は休み。昼飯で一楽に来ていた俺たちは三人仲良く並んでズルズルとラーメンを食べていた。汐音は醤油、俺は味噌、クーちゃんは塩味。
一楽のラーメンはマジで美味い。こしがある麺はまさに弾むと言っていいほど弾力があり、このもちもち感がたまらない。スープもコクがあって濃厚なんだけどそれでいてしつこくないというか、後味の良いさっぱりとした味だ。
汐音が早くもおかわりを頼み、俺とクーちゃんもそれに続く。基本我が家はあまり外食をしないから、こういう機会を得ると腹一杯食べようとするんだよね。
ラーメンうまー、と出てきた替え玉の麺をズルズルと啜っていると、背後からタッタッタッと地面を駆ける音が。
そして「ハールートーさん!」と鈴の音が鳴るような可愛らしい声とともに小さな衝撃が背中を走った。
「おおっと! ったく……危ないだろハナビ」
振り返るとそこには笑顔を浮かべる一人の少女の姿。
姉に似た整った顔立ちに一族特有の白い目。甘え上手で少しお茶目な性格の彼女は俺の背に抱きつきながら楽しそうに笑い、言葉だけの謝罪を口にした。
「えへへ、ごめんなさーい」
艶やかな黒髪がさらさらと零れる。
彼女は日向ハナビ。ヒナタの妹で二歳の女の子だ。
「あ、ハナビ。こんにちはだってばさ!」
「汐音さん! こんにちはっ」
俺から離れたハナビは汐音に抱きつく。
俺たちがハナビと出会ったのは半年前のヒナタとの見合いの場。汐音とハナビは不思議と馬が合うようで驚くほど仲がよくなり、今では親友と言えるほどの間柄だ。
俺にとってのシノみたいな感じかな。キャイキャイと楽しそうに騒ぐのは見ていて和むけど、場所を選びなさい。
営業妨害になりかねないため勘定を済ませる。
「ごちそうさまー」
「あいよ! ……丁度だな。また来いよ!」
「おーう。ほら行くよ二人とも」
じゃれ合う二人を促す。隣ではクーちゃんがハンカチで上品に口元を拭いていた。
「美味であった。店主よ、また腕を上げたな」
「へへっ、まだまだですよ」
照れくさそうに鼻の下を拭う店主。
汐音とクーちゃんにハナビも足した一行は特に当てもなく、小物店や忍具店、書店や甘味処などぶらついていると、ハナビが声を掛けてきた。
「そうだ! 折角なんで家に来ませんか?」
「ハナビのところに?」
「はい。姉さんもいますし、き
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