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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第44話『最強と最恐』
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ぜ…」


体力もだが精神的にもキツい。さすがに、ホイホイといつでも使える代物ではないようだ。


「けど、これで見えるな」


晴登は服を払って砂や埃を落とし、姿勢を正してから改めて前を見た。
ここからなら、東側の大通りが見えるはずである。


「──えっ?」


しかし見えた光景は、普段とは一転して、至るところが紅く染まっている街並み、そして、ウォルエナで溢れる大通りだった。







「嘘……」


晴登がその光景を発見したのとほぼ同時刻。ユヅキもまた、一変した街並みを眺めていた。
……ここまで「一変した」という言葉が相応しい光景があろうか。


「って、やばっ!」


突如、視界にウォルエナが入り、ユヅキはすぐさま身を隠す。
というのも、ユヅキはようやく路地裏を脱出したところであり、実は現在大通りにいるのだ。


「そんな、まさかここまで…!」


悲鳴と怒号と喧騒と、あらゆる音が飛び交う大通りの様子を見て、ユヅキは絶句せざるを得なかった。
眼前、数多のウォルエナが人を追いかけ、飛びつき、喰らっていた。
そのあまりに衝撃的な光景に青ざめると同時に、急な吐き気を覚えるユヅキ。
確か路地裏に入る前は人々で大通りが埋めつくされていて、外を目指していたはずだが、今はもうその流れは逆転し、その上 目に見える人数はその半分にも満たない。
そんな残酷な現状を前にしたら、誰だって気持ち悪さを覚えるだろう。


「東門からもウォルエナが入ってきた…だったら辻褄が合うけど」


前から後ろから。そんな挟み撃ちを喰らえば、あの人数がこうなるのも頷けるには頷ける。絶対に頷きたくはないが。
となると、ウォルエナは西門からも入ってきていると考えられる。
もしこの仮説が事実なら、王都内のウォルエナの数は膨大。そして外への逃げ道が絶たれたのと同義。


「どこに逃げればいいの…?」


王城が避難所として解放されてるなどつゆ知らず、ユヅキは四面楚歌の状況にお手上げだった。
隠れてその場を凌ぐのは、ジリ貧なので得策ではない。一刻も早く王都から脱出しないと、辿る道は死のみ。
当然、晴登にだって同じことが言える。


「早く見つけないと…!」


ユヅキは再び路地裏に戻ってウォルエナの目をかい潜りながら、晴登の探索を再開した。







「どうしたものか…」


屋上の上から景色を眺め、絶望に暮れる晴登。この状況を、1人でどう脱しろというのだ。
ウォルエナの数は、ハッキリ言って無限。倒し切るとすれば、一体何日かかるだろうか。


「てか、ヤバすぎだろ…」


先程から転じて、今の大通りは人ではなくウォルエナが
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