第二章 【Nameless Immortal】
肆 裏/表の接合点
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「研究室で鍛えました。今度勝負しましょう会長」
「良いかもしれないな。面白い試みだ」
「俺も出来るぞ。混ぜろ。あんなん薬品と同じだ」
医療科長も声を上げる。
徹夜率が高く今日も朝早くから居た不健康組の一角が揃う。
「いいだろう、三人で勝負しよう。最も、負ける気はしないがね」
不敵にカリアンが眼鏡を光らせる。
不健康トリオに周囲の冷ややかな視線が向かう。
近寄ったヴァンゼが呆れた顔をして書類でカリアンの頭を叩く。
「不健康自慢の暇があるなら寝て仕事をしろ。今後の施策だけじゃなく過去の遺産もあるだろう」
「軽い余興さ。邪魔はしないし、私の業務も忘れてはいないよ」
過去の遺産とは歴代の生徒会長から残された施策の類だ。
長い年月が必要であったり、何らかの問題によって当時は完遂されなかったもの。
特に前生徒会長の物であることが多く、例にもれずカリアンの代にも多数ある。
「なら俺の仕事もさっさと片付けてくれると助かる」
カリアンを叩いた書類がデスクの上に置きヴァンゼが席に戻る。
記載事項は昨日の問題による都市警絡みの新施策に関する案件だ。
武芸科長は都市警察長の任命・罷免権を持つからヴァンゼも関わっているのだろう。
カリアンが視線を向けると隅のデスクに居る警察長が軽く手を上げる。
元々、カリアンがここにいるのは他役員との業務を円滑に行うためだ。
カリアンは軽く書類に目を通し、署名したそれを二人の元へ持って行く。
「現状、どの程度まで進んでいるかな?」
「既に行っているからな。大半は済んだ。後は確認とデータ化くらいだ」
既にカリアンは担当分(午前分)の書類は大凡終わっている。
書類を覗き込むカリアンに警察長が資料を差し出す。
「見ますか?」
「来ておいてなんだが、見ても良いのかい? 守秘義務があるだろう」
「生徒なら、そうですね。ですが来訪者ですから。それに私共としても会長に見て貰えるなら、と思っていました。特に今は」
幼生体戦による多数の死傷者、治安の悪化、都市警の失態。
武芸科と都市警察に対する生徒の目は現状厳しい物がある。
単独では信頼が薄れる今、生徒科長の承認という形があるなら多少の保障にはなる可能性はある。
「そういう事なら見させてもらうよ」
近くの椅子を引き寄せて座りカリアンは資料を開く。
内容は案件に関した詳細を記した書類、それと来訪者の顔写真や身元の一覧だ。
先日、事前の情報と準備がありながら都市警は情報強盗を取り逃がした。
その原因の一つに来訪者の情報不足があった。
旅券と共に確認する「証明書」の幅も緩く精査が浅い面があった。
失態があったのに何もしないのでは多方面か
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