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鋼殻のレギオス IFの物語
第二章 【Nameless Immortal】
参 振り下ろされた兆し
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を指さしながら嬉しげに微笑む。

「一緒一緒。ボクも半分血が繋がった姉さんが三人と妹が一人、それと血が繋がらない姉さんが一人いるよ。皆、もう家には居ない」
「女系家族って言うんだっけ? 僕が言うのも何だけどそれはそれで珍しいね」
「そうかな? それ以外にも家族はいたし、こんなボクを皆愛してくれたよ。最初の頃は家が貧しかったから、その分何も出来ない自分が嫌だったけど」
「ああ、僕もあったよそれ。自分は貰えるのに、返せないからさ」

 だから、どんどん重くなっていく。その降ろし方が分からなくなる。
 昔を思い出し懐かしいなとレイフォンは思う。

「……うん、最初に会った時から何となくそんな匂いはしてたけど、君はボクと結構似てる気がするよ」
「そう? 言われてもよく分からないけど」
「ボクのこういう勘は働くんだ。ふふふ、実は何を隠そう、ボクは困っている人を助ける宿命を持った扶翼の使者なのさ。レイフォンはさ、何でツェルニに来たの?」

 指を銃の形にしたカノンは楽しげに、不敵に笑いレイフォンを指さす。
 好奇心の残骸、薄らと赤い絆創膏のついた指が伸ばされる。 
 だが頬が飴玉の分だけ小さく膨らみ様になっていない。

「死の大地を通って、故郷を遠くにおいて。それに代わる何かを求め、或いは此処で成すために居るんだろう? ――君の夢は何だい?」
「……希望に沿えず悪いけど、僕は世間知らずでさ。少しは外を見てこいって追い出されたんだ」

 予め決められている理由をレイフォンは述べる。
  
「うーん、予想が外れちゃったかな」
「逆に聞くけど、そっちはどんな理由で故郷から出たの?」
「叶えたい夢があったんだ。それと、少しでもボクの事を多くの人に知って貰いたかったからかな。……それについてはまた今度、話そうよ」

 カノンの指先が差す方向が変わる。
 そちらに視線を向ければニールとルシルがこちらへ歩いて来ていた。












「取りあえずはバイトからだな」

 パスタを無駄に大巻にしながらルシルが言う。
 時間柄、昼食をとる為に四人は喫茶店の中に居た。
 
 話しているのは今日の行動についてだ。
 カノンだけでなくレイフォンもバイトを探している。
 観光とバイトという話ではあったが、まずは急を要する方をという事だ。

「僕としては教務課が一番安易だと思うけど」

 零れたレタスを指で摘まみつつレイフォンはサンドイッチを食していく。
 味は普通で値段は安価、量は大目のこの店で一番コスパが良さ気な一品だ。

「私の記憶ではあそこは学生証の掲示を求められる事が殆どだ」
「でも直接連絡を取るやつも有ったと思うけど」
「その大半は研究補助やその助手だろう」
「そ
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