第二章 【Nameless Immortal】
参 振り下ろされた兆し
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た通り空から降ってきたしな。これも何かの縁だ」
「本当に落ちてきて驚いたよ。そういえばいつまでヘルメット付けてるの?」
「……接触部が壊れたのか外れないんだよこれ」
転がっていた二人のシティローラーは傷こそあったが問題なく動いた。
一回止まったという事でニールが場所を交換。ニールがルシルの後ろに乗り、カノンはレイフォンの後ろに乗った。
何も反省していないような二人乗り二台のシティローラーの構成で四人は発進した。
その後、四人は二輪を走らせ周辺を回った。
自然あふれる場所や高台からの眺めを見て回り、不法投棄物の調査も行った。
陽が落ちた後、観光とバイト紹介も兼ねた明日の約束をし、その日は分かれることとなった。
次の日、レイフォンは予定より早く集合場所に着いていた。
場所は商業区外れにあるバス停近く。時間は昼前の約束だ。
今日は都市バスを使う事になっている。そのせいもあってレイフォンは早く着いていた。
傷だけで済んだと思った二輪の出力が落ち、エンジンもかかりづらくなっていたからだ。
集合場所には既に着いていたらしいカノンが一人だけいた。
昨日とは違ったパーカーを纏い、髪は背中側だけを束ねたアップにして帽子を被っている。
道の隅でしゃがみ込んでいるので近づくと、カノンはシャムトラの猫にちょっかいをかけていた。
「何してるの?」
「やあ、レイフォンおはよう。この子と遊んでるのさ」
服装の違い故か、カノンの雰囲気が昨日とどこか違うようにレイフォンは感じた。
耳に傷痕のある猫は止めろとばかりにパンチをしている。だが意にも介さずカノンは猫の毛や肉球に手を伸ばしている。
「間違いないね。この子はナコだよ。私には分かる」
「ナコ? ……ああ、昨日の。奇遇だね。でも場所がかなり離れてると思うけど」
犬と違い猫の行動範囲は狭い。一般的には半径二百メル前後だ。
昨日見た場所からここまでは優にその数倍はある。
その範囲を超える事があるのは外敵に追われるなどの緊急時位だ。
動きがどこか特徴的な猫と戯れるカノンをレイフォンは眺める。
「昨日は追いかけていたのによく逃げないね」
「ボクの仁徳かな? さっきもボクの手から御飯の残りを食べたよ」
どう考えてそれが理由だなと思いつつ、レイフォンも腰をかがめて手を伸ばす。
――ヴー
威嚇した猫はのっそりとカノンの方へ移動する。
「何でさ」
「ナコが嫌いな匂いでもしてるんじゃないかな。朝は何食べたんだい? それにしても人懐っこいなぁ」
「飼い猫なんじゃないの。でも首輪とかもないし……捨てられた野良かも」
「そんなことあるの? こ
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