692部分:第九十九話 宮殿の中へその六
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第九十九話 宮殿の中へその六
「そしてだ。だからこそ」
「この世界を戦いの世界に」
「しようぞ。いいな」
「喜んで」
「まずはこの世界を全て破壊と流血の世界にし」
「そしてハーデス様が封印より解放されましたら」
その時のことも頭の中に入れていた。既にであった。
「そうしたらその時こそです」
「私は叔父上と共にオリンポスを治められるようになる」
「ゼウス様より禅譲されてですね」
「何故だ」
ここでアーレスは疑問の言葉も出した。
「何故私は受け入れられなかったのだ」
「オリンポスの神々に」
「アテナもアポロンもアルテミスも」
全てアーレスから見れば傍流でしかない。彼にはゼウスとヘラの子という自負があった。それは最早絶対に近いものがあった。
「ヘルメスもヘパイストスもだ」
「誰もがアーレス様を邪険にし愚弄さえしておられました」
「人間達もだった」
またこの話をするのだった。アーレスの声にもエリスのそれにも怨念が宿る。それは底の見えない、まさに暗黒のものであった。
「アテナやアポロンだけを崇め」
「ギリシアでは蔑まれてきました」
「だがこのトラキアは違った」
そうだったのだ。彼はギリシアでは愛されてはいなかった。しかしトラキアやマケドニアといった国や地域で崇拝され愛されてきたのである。
「私を愛してくれた」
「そしてアーレス様はここにこの宮殿を築かれました」
「愛すべき場所だ」
まさにそうした場所なのだというのだ。
「この宮殿こそが私の玉座のあるべき場所だ」
「その通りですね」
「アテナの聖域を滅ぼしたならばここを聖域とする」
「はい」
まさにこのトラキアがだというのだ。
「わかったな。そうするぞ」
「わかっております」
「以上だ。それではだ」
「はい、私もこれで」
「行くのだな」
「闘うべき相手が来ようとしています」
言葉に微笑みが宿ってきていた。
「ですから」
「そなたが闘うべき相手だな」
「その通りです。来ようとしています」
そうだというのだ。
「それでは」
「行くといい。私はここで見守ろう」
「有り難き御言葉」
「何度も言うがそなた達には私がいる」
またこう言うのであった。
「私がだ。いいな」
「それこそが最も有り難い御力です」
彼女達の後ろには主であるアーレスがいて何度でも蘇らせてくれる、それはハーデスが己の愛する冥闘士達を蘇らせるのと同じであった。
「では」
「来るのは教皇だな」
「はい、あの者です」
「あの者もまた強大な力の持ち主」
エリスは彼の力を決して低く見てはいなかった。彼女もまた愚かでない。
「闘いがいがあります」
「だからこそだ。楽しんでくるのだ」
「そうさせてもらいます」
こう話してであ
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