691部分:第九十九話 宮殿の中へその五
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第九十九話 宮殿の中へその五
「だが、だ」
「我等は」
「そうだ。そなた達は私に従ってくれた」
言葉の色が一転した。親しいものが宿ったのだ。
「最初はエリス、そなただったな」
「次にはあの者達が」
「四闘神。そなたとあの者達にはどれだけ感謝したことか」
そのことを告げるのであった。言葉には明らかに慈しみがあった。
「誰からも蔑まれ罵られていた私の傍に来てくれたのだからな」
「アーレス様の御考えこそが真実だからこそです」
少なくとも彼女達はそう捉え信じたのである。アーレスのその考えに惹かれ賛同し忠誠を誓った。それは紛れもない事実であった。
「ですから」
「そう言ってくれたな。私はあの時はじめて孤独以外のものを知った」
「有り難き御言葉」
「そしてだ」
アーレスの言葉はさらに続いた。
「狂闘士達もだ。天闘士達から抜けてな」
「思えば天闘士達のうち三分の一がアーレス様に従いました」
「絶対の忠誠を誓ってくれた」
この忠誠は微動だにしてはいない。狂闘士はただひたすらアーレスに忠誠を誓っている。誰一人としてそれから外れる者はいない。92
「何度にも渡る聖戦の中でな」
「何故揺らぐことがありましょう」
エリスは恭しく彼に述べた。
「我等のこの心が」
「それはないというのか」
「有り得ません」
誰一人として例外はいない、それを確かに断言したのだった。
「我等全て。永遠にです」
「私と共にいてくれるか」
「アーレス様が望まれる限り」
アーレス自身に対して告げた言葉であった。
「そうさせて頂きます」
「それでは私もだ」
「アーレス様も」
「私が存在する限りだ」
神は不滅である。そのことを念頭に置いたうえでの言葉であった。
「そなた達と共にいよう」
「有り難き御言葉・・・・・・」
「私を信じ忠誠を誓うそなた達は何があっても疑うことはない」
まずはこう言うのであった。
「この私についてきてくれるのだからな」
「アーレス様だからこそです」
エリスはエリスでこう返す。
「我等の様な。戦いの中でしか生きられない者を受け入れて下さるのですから」
「私達は同じか」
アーレスは不意にこんなことも言った。
「考えてみれば」
「そうかも知れません」
エリスもそれは否定しなかった。
「結局は」
「そうなのだろうな。私達は同じだ」
「はい」
「戦いを愛しその中でしか生きられない」
まさにそうだというのだ。
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