血の滴る
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俺は…。
「……っくりしたぁ……」
案外と高い声が、目と鼻の先で聞こえた。既に3年は寿命が縮まっていると思うが、更に俺の生きる時間をキュッと圧縮する、犯人の肉声。心臓のバクバク音が漏れ聞こえるんじゃないかと、必死に胸の辺りを押さえる。何やってんだ俺。
そいつは暫く鳴り続ける携帯を眺めていたが、着信音が途切れた瞬間、妙にそわそわし出した。
―――そうか。こいつの中で、俺は携帯を家に置いて外出している事になっている。
ということは俺は遠くには行っていないと踏んだのだ。近所のコンビニにでも出ていて、ちょっとしたら帰ってくるかもしれないと。奴はガバリと血溜まりの上に伏せると、ずっと手に持っていた汚いタオルだか雑巾で床を拭き始めた。猛烈な勢いで。どうやら家主が居ないなら証拠隠滅してやろうと侵入したっぽい。…あれ?
こいつ何か、すごい気ぃ弱くね?
あの荒々しいノックをしてきた奴と同一人物とは思えない程のヘタレっぷりだ。もうこいつ、一刻も早く血痕消して逃げ帰ることしか頭になさそうだ。ふぅ…と小さく息をついた。
その瞬間、『ガガガガガン!!』という荒々しいノックが響き渡った。
ひっひぃ!とか叫んであたふたと周りを見回す犯人。…ていうか…あれ!?ノックしてきた奴と侵入者、まさかの別人!?
「月丘さん、開けますからね!?」
大家の声だ。大声のあと、カチリと鍵が回る音がして、大家と…誰だ、見た事ある気がするんだが?
「前原さんから連絡があったんですよ!?なんか天井に赤いシミが浮いてるって!!」
……あぁ思い出した、下の住人だ!
どうやら血が俺の部屋を貫通して1階の住人とこにも届いてたのだ。まじかよ床薄すぎじゃねぇのか?
「…あれ?藤本さん?」
「ひっ!!」
―――大家と犯人と1階の住人が鉢合わせた!俺の部屋で!!
「何であなたがこの部屋に?…あ!ガラス割ったのか!?」
大家が早速見とがめて詰め寄った。
「あ、あわわわわわ」
犯人は尻をついてあとじさった。
「なにその雑巾!ちょっとあんた、何しに入ったんですか!?」
「こっ…これはその…」
「あんた…まさか…」
「月丘さんを殺したのか!?」
―――話がおかしな方向に!!!!
「え!?いや!?こっ殺してない、いや殺したけど殺しては」
「殺したんだろ!?どこに隠した!?」
「違う!殺したのはこの部屋の人じゃなくて!!」
「この部屋の人じゃなくて誰かを殺したんだな!?何故月丘さんの部屋で!?」
本当だよそれじゃ意味わかんねぇよ。
「違うんです!!ここじゃないんです!!」
「じゃあ何でここに血痕があるんだよ!!」
下の住人…前原というのか?筋肉質で浅黒い男が怒号をあげた。…あー、ああいうノックしそうな面構えだ。天井に血の染みを
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