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提督はBarにいる。
アニヲタ比叡の優雅な?休日・4
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 途端に噎せかえる比叡。この四女、抜けていそうで意外と鋭いのである。えっ!という顔になる三人。その視線を受けて赤くなって俯く比叡。何を隠そう、比叡の初恋の相手は姉の結婚相手であり義理の兄となった提督だった。




「さ、最初はね?お姉様大好きでそんなに気にならなかったし、寧ろお姉様が取られちゃいそうでヤキモチ妬いてたの。」

 真っ赤になりながら語りだす比叡。酒の勢いもあってか、口が軽い。

「でもねでもね、仕事してる時の真面目な顔とか、他の娘を褒めてあげてる時の優しそうな顔とか、『格好いいなぁ』って思うようになって……」

「はぁ……意外と乙女だったんですねぇ比叡さん。」

「ちょっと能代、言い方が無神経すぎよ!……それで?アプローチとかしなかったの?」

 ズケズケと意見を言う能代を嗜めつつ、次の話を促す矢矧。

「だって、司令もお姉様好きなの見え見えだったし、お姉様も相変わらず好きだったからお邪魔はしたくないし……」

 そういう比叡の目は潤んでおり、今にも雫が零れ落ちそうになっていた。そんな比叡を慰めるように、阿賀野が比叡の頭を抱き締めてよしよしと頭を撫でてやる。他の姉妹とはいえ長女は長女、こういう時の『妹の扱い』は馴れた物なのだろう。……普段のだらしなさは頂けないが。

「それに、私お酒弱いから司令のお店にもあんまり顔出せないし……。」

 それで思い付いたのが『提督と趣味を共有する』事だったのだ。それがきっかけでアニメを見るようになり、今では本当にアニメが好きになったのだ。


「そんな事無いと思うけどなぁ。」

 唐突にそう言ったのは酒匂だ。

「司令のお店、お酒が飲めない娘も行ってるよ?羽黒ちゃんとか、電ちゃんとか。飲めなくても司令は気遣ってくれるって言ってたよ?」



「比叡さんはねぇ、多分優しくて、司令も金剛さんもだ〜い好きなんだよ。だから、金剛さんと司令を取り合いになりたくなくて、自分で諦めたんじゃないかなぁ?」

 酒匂は純粋な娘だ。だからこそ、自分の考えを包み隠さずストレートに言ってくる。……そう、比叡は自ら身を引いたのだ。提督と同じくらいに愛している姉の恋路の為に、自らの初恋を叶わぬ物と解っていても、二次元のアニメキャラや映画の俳優に面影を重ねている。それをズバリと指摘されたからか、比叡の目尻からすぅ……と一筋の涙が零れた。

「あ……あれ?おかしいなぁ、ちゃんと気持ちの整理は付けたのに…あれ?」

 拭っても拭っても、零れる滴を止める事が出来ない。そんな比叡を見て、能代が肩に手をポン、と置いた。

「比叡さん……飲みましょう!」

「ふぇ?だから、私お酒はあんまり……」

「だ・か・ら、ですよ。飲んで飲んで飲みまくって、イヤな事な
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