暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
響き合う『過去』と『現在』
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 4月も中頃に差し掛かったとある夜、早くから来ていた飲兵衛連中も部屋へと戻り、静かな時間が店内に流れる。

「早霜、今日はもう上がれ。こっから先は殆んど客も来ねぇだろ。」

「……解りました。では店長、お休みなさい。」

 先程までグラスを磨いていた早霜も先に帰し、店には俺一人。起きていれば金剛を呼んで夫婦二人で飲むのも良いか、と携帯に手をかけようとしたその時、Barの扉がゆっくりと開かれた。

「やぁ司令官、開いているかい?」

「……なんだ響か。珍しいな、こんな夜更けに。」

 顔を覗かせたのは暁型駆逐艦の2番艦、響。正確には、第二改装まで済ませているのでΒерный(ヴェールヌイ)なのだが、本人の希望で響と呼ぶようにしている。

「いや、特に意味はないさ。ここはBarだろ?お酒を飲みに来た、それだけさ。」

 Βерныйの制服ではなく暁型の制服に身を包んでいた響きは、その特徴でもある軍帽を脱いでカウンターに腰かけた。

「成る程、4人部屋に独りで寝るのは寂しかったか?」

 今日は暁型の他の姉妹は、それぞれ別任務に就いていて、今朝方遠征から帰ってきたばかりの響とは入れ替わりに居なくなっていた。

「し、司令官……その…、からかうのはよしてくれ。私はそんなに子供ではない。暁姉さんとは違うんだ。」

 色素の薄い頬を紅く染めて、響が反論してくる。

「ハイハイ、そういう事にしておくさ。……で、ご注文は?」




「そうだな……ウォッカを。…あ、でも今晩はゆっくりと飲みたいからボトルではなくカクテルで出してもらえると有り難いな。」

「カクテルの種類は何でもいいのか?」

「あぁ、ウォッカがベースなら何でも構わない。」

 要するに、お任せって訳か。まぁいい、たまにはこういう趣向もいいだろう。

「しかし、響はホントにウォッカが好きだよなぁ。」

 カクテルに使うウォッカとアプリコット・ブランデーを支度しながら、響に話しかけた。

「あぁ、やはりロシアに行ったという経験は私にとって大きな物だったらしい。日本酒や焼酎が飲めない訳では無いけれど、やはり私はウォッカが口に合うよ。」

 シェイカーにウォッカを30ml、キュラソーを15ml、アプリコット・ブランデーも同じく15ml。ライムジュースを1tsp加えたらシェイク。混ざったらカクテルグラスに注ぎ、仕上げの香り付けにオレンジピールを搾りかけたら完成だ。

「『アクダクト』だ。今ツマミも準備するから、とりあえず駆けつけに、な。」

「スパスィーバ、頂こう……うん、これはいいな。アプリコットの香りと甘味、それとオレンジの香りもする。」

 ツマミのカナッペ盛り合わせの支度をしながら、響の品評を聞く。ウォッカと
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