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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十九話 末裔
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ン、そして同盟でも多くの市民があの出兵に賛成したのだ。いってみれば、この宇宙の殆どがあの出兵を支持し、後押ししたという事になる。止める事など出来なかったに違いない……。何と無力な事か……。

しばらくの間沈黙が応接室を支配した。皆身動ぎもせず黙っている。何を考えているのか……。あの戦争の事か、それとも和平の難しさについて? あるいはフェザーン、いや地球の事か。

「あと一ヶ月もすればヴァレンシュタイン元帥がイゼルローン要塞に来る。こちらも対応を決めねばならんだろう」
トリューニヒトの言葉に皆が頷いた。

「正直に言うしかないだろうな。フェザーンの成立に同盟が絡んだ事は認める。しかし、地球とフェザーンの関係は分からなかった。また地球教に関しても主戦論を唱えている事は認めるが反国家的な行動はしていないと」

「つまり地球教を禁止、弾圧する事は出来ない……。レベロ、君はそう言うんだな」
「その通りだ、今の時点では無理だ」
「それで納得するかな、向こうは」

ホアンが首を捻っている。
「ホアン、レベロは今の時点ではと言っているんだ。この後何らかの証拠が同盟で発見されるか、あるいは帝国から提供されれば話は別だ。国家にとって危険だと判断できれば当然処断する」
「なるほど……」

トリューニヒトの言葉にホアンが頷いた。それを見てトリューニヒトがヤン提督に問いかけた。
「ヤン提督、君はどう思うかね」

『そうですね、私も今の時点では動きようが無いと思います。議長の仰るとおり何らかの新しい情報が手に入らないと……。地球は帝国領内に有ります、帝国は彼らを調査しているはずです。その結果を待ちたいと答えてはどうでしょう?』

「そうだな、地球に関しては我々よりも帝国のほうが情報を得やすいはずだ。その結果を待つとするか。ヤン提督、その方向で対応してくれ給え」
トリューニヒトの言葉にヤン提督が頷いた。良い感じだ、少なくとも最初の頃のように不信感を露わにするような事は無くなった。少しずつだがトリューニヒトは信頼されるように成ってきたようだ……。




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