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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 生裁戦士セイントカイダーll
第4話 初代と三代目
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を広げないでくんないかな」
「誤解なんかじゃないですよぉっ! 『平越路子』っていう名前だって、私と船越さんの名前を掛け合わせて出来ちゃったんですからぁっ!」
「や、やっぱり! ちくしょーッ! くたばれ船越、このリア充がァァァァッ!」
横山という人は涙目になりながら、凄まじい形相で船越さんを締め上げている。ぼんやりとだが、彼らの関係図が見えてきたような気がしてきた……。
「高校を卒業してモデルになるはずが、美貌を見込まれアイドルデビュー……か。俺の知り合いって出世してる連中ばっかりだけど、お前も大概だよなぁ」
「えっへへー……。船越さんに元気をいっぱい貰っちゃってますからねっ!」
「それに引き換え――俺は大学に補欠合格な上に、舞帆と美姫のことでキャンパス中から目の敵。果てはプロデューサーのバイトで日夜残業……か。なんともやるせないねぇ」
自嘲気味に笑って見せる船越さんだったが、その顔は言葉とは裏腹に、満足げな様子が感じられた。
不満はあれど、今の自分に納得もしている……と言ったところだろうか。
「さて。世間話はこれくらいにして、二人はそろそろ仕事場に戻ってくれ。俺は彼と話があるから」
俺がどことなくそわそわしていたのを知ってか知らずか、船越さんはアイドルの人と横山さんに席を外してもらうよう促した。
「えぇーっ!? なんだよ話ってー!?」
「……わかりました。じゃ、また後でお喋りしましょうねっ?」
「おぅ。俺も話が済んだら、すぐ戻るから」
不満げにブツブツと文句を呟いている横山さんを引っ張り、アイドルさんは俺達に笑顔で一礼してから応接室を出て行った。
あの人がここまで物分かりがいいのは、「セイントカイダー」について何かと知っているからなのだろう。
――そう、彼女は「セイントカイダー」という単語だけで、船越さんに用があるのだと気づいていたのだから。
そんな言葉を出してきた俺のことも、薄々察していたに違いない。
二人が応接室から去っていくと、あっという間に部屋の中は物音一つ失くなってしまう。
無言のまま、ソファから立ち上がって窓際に向かう船越さんを目で追うと、俺達の姿がガラスに映し出されているのがわかる。
学園を出る時に着てきた、赤と黒を基調にしたライダースジャケット。
ツーブロックに切り揃えた黒髪に、至って普通の顔立ち(なぜか周りは『イケメン』と言うが)。町並みが窺える透明の鏡には、いつもの俺の姿が現れていた。
「達城から話は聞いてるぜ。君が現セイントカイダー……栂勇亮君なんだな」
船越さんが振り返り様に発した第一声。それは、彼がセイントカイダーに深く関わった人物であることを確信する、決定打となった。
「そう
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