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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 文倉ひかりの恋路
前編 あるはずだった幸せ
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に行くように背中を押し、外に出ることを提案した。
「えぇ!? そんないきなり……!」
「私としては、ひかりや大路郎さんの時間を大切にしてほしいところですからねぇ。ここで絵本を読んでいるより、外に出てお天道様の恵みを受けるほうが、気持ちが晴れやかになりますよ」
ニコニコと笑いながら、「さぁさぁ」と外出を薦める院長先生。先生のすることを優先して、さっきまで続いていた絵本の朗読を聞いていようとしていた私にとっては、かなりの急展開だ。
「おでかけ、おでかけ! パパ、ママ! いく!」
「瑳歩郎も乗り気みたいだし……ちょっと散歩にでも行ってみるか?」
「う、うん……」
大路郎君の足にしがみついて元気に笑う瑳歩郎を見ていると、この流れに逆らうことがいかに無粋なことかを思い知らされる。
結局、私達は孤児院の案内という予定を変更し、三人で街に繰り出すことになった。
――他の子供達の冷やかしに遭いながら孤児院を出る私の顔は、大路郎君いわく「噴火三秒前の火山のように赤かった」らしい……。
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