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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 平中花子の恋路
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ちの顔を覗き込んで来る。こ、ここまで男の子と顔を近づけたのって、はじめてかも……!?
「『
武羽子
(
ぶうこ
)
』さん? だっけ? あいつらが言ってたな。よろしく!」
――って、この人まで、私のこと「ブー子」って言うんだ。たまたまとは言え助けてくれたんだから、ちょっといい人かと思ってたのに!
「しかし変わった名前だよなぁ、アンタ。でも、『武羽子』って響きがカッコイイから羨ましい! 俺なんて『大路郎』だぜ?」
「――ほっといてよ、バカ」
「え、なに? なんかマズイこと言ったか、俺?」
大路郎と名乗るこの男の子の白々しさが、憎たらしくてたまらない! ちょっと顔が好みのタイプだったからなおさら!
私は助けてくれた恩も忘れて、思い切り彼をひっぱたいてしまった。
バシィッ! と頬を叩かれ、何事かと目をパチクリさせている彼に向かって、私は思い切り八つ当たりをした。
……今まで感じていた不満を、発散するチャンスだと思って。
――あぁ、最低だ私って。
「言いまくりよっ! 『ブー子』がカッコイイですって!? バカにするのもいい加減にしなさいよっ! どうせ、どうせ、私なんて、あんたの言う通り……ブタなんだからぁぁぁぁっ!」
「ちょちょ、待った武羽子さん! 何を勘違いしてるのか知らないが、俺は『ブタ』なんて……!」
「黙ってよ! 黙りなさいよ! バカァッ!」
私はいつの間にか涙や鼻水まで垂れ流して、彼の胸をひたすら拳で殴っていた。大した威力もない私のパンチを食らっている彼は、何がいけなかったのかがわからない、という困惑した表情だ。
「死んじゃえ、死んじゃえ、あんたなんか死んじゃえ!」
「お、落ち着いてよ武羽子さん! なんか落ちたぞ!」
「うるさい、死んじゃ――え?」
その時、ふと私の懐から一冊の本が落ちていたことに気づく。
それは、いつも私が読んでいたファッション雑誌だった。綺麗な女のモデルさんが、カッコイイ服やかわいい服を着ている写真がたくさんある、私の宝物。
いつか、自分もこうなれたら――そんな叶うはずのない夢の代わりとして、いつもこれを読んでいた。
私みたいな不細工女がこんなのを読んでたら笑われるに決まってるから、コソコソ読むしかなかったんだけど。
それでも、夢を見せてくれるこの雑誌が私は好きだった。
「あっ――あああっ!」
ただそれだけに、見られてしまった瞬間の恥ずかしさは大きい。私は顔を真っ赤にしながら、涙目で雑誌を拾って両手で隠すように抱きしめる。
「ぶ、武羽子さん? どうしたのさ?」
「……み、見た?」
膝をついて雑誌を抱いている私は、上目遣いでキョトンとしている彼を見上げる。
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