暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 平中花子の恋路
前編 甘く苦い思い出
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飛び出してきたゴキブリに悲鳴をあげつつも、私は作業を続けた。

「あれ、あそこにいるのってブー子じゃね?」

 ふと、後ろから私のことを指している声が聞こえて来る。振り向かなくても、それがいつも私をいじめている男子グループのリーダーの声だとわかる。

 私にとっての恐怖の象徴に名指しされ、冷や汗が全身から噴き出してしまう。

「あ、ホントだ!」

「マジかよ、ゴミ漁ってやがるぜあいつ!」

「たはーっ、さすが野獣ブー子! 人間の食い物じゃあ物足りないってか!?」

 ゲラゲラと私を嘲笑する男子グループの笑い声を背に、何も言い返せずに私はただ黙々と分別を続ける。

 ――あんた達がちゃんとゴミを分けなかったせいでこうなってるのに、なんでそんなこと言われなきゃなんないのよっ!

 それが、私の本音だった。でも、口にはできない。

 怒りをあらわにしても、「何そんなに切れてんの? ばっかじゃねー」とかわされるだけだ。それに、そんなことをしたらこの先、もっといじめられる。

 今はただ、それが怖かった。

「野獣だったらこういうのも食うんじゃねーの? そらっ!」

「――ひっ!」

 その発言内容と掛け声から、私は即座に男子グループが後ろから物を投げつけてきたのだと察した。私はせめて頭は守ろうと、身を屈めて両手で頭を抱える。

 ――その時だった。私が、あの人と出会ったのは。

「いてぇ!」

「えっ!?」

 頭に物がぶつかる瞬間に怯えていた私は、男子グループとは違う少年の声に驚き、思わず振り返ってしまう。

 そこには、本来私に当たるはずだったペットボトルを顔面に食らい、顔を押さえて唸る男の子がいたのよ。

 彼は予想外だった人物に当たってしまったことで、慌てていた男子グループの面々に「痛いじゃないかコノヤロー!」と怒鳴り、持っていた鞄を振り上げて男子グループ目掛けて突撃しはじめた。

 男子グループにとって彼は危険な存在なのか、連中は彼に「わ、わりぃー!」と謝りながら、ダッシュで退散してしまった。

 ――もしかして、助けてくれたの? 私のために……!

「全く、こないだシメてやったばかりだってのに、懲りずにゴミのポイ捨てなんてセコい真似してくれちゃって! 通行人に当たることを考えろっつーの!」

「……ハァ」

 ――別にそんなことはなかったみたい。ていうか、私の存在にすら気づいてないみたいだった。期待してしまった自分が情けなくて、思わずため息が出ちゃう。

 偶然通り掛かった所で、たまたま私に投げつけられたペットボトルが顔に当たっただけ……らしい。

「あれ? アンタ誰は確か、隣のクラスにいた……」

 その時、ようやく私に気づいた男の子が、こっ
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