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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 桜田舞帆の恋路
第3話 激突する恋心
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レア』は、我が剣淵財閥の要する技術力の集大成とされる、最新鋭式可変プロテクターです。そのようなか細い光線を通すほど、安い仕上がりでは――なくってよ!」

 ショックを受けている場合じゃない。今度はドルフィレアの方が仕掛けてきた! 両足の裏から噴き出す水圧ジェットを使い、こっちに猛接近してくる!

「くっ――セイトサーベルッ!」

 光線銃が効かないとわかった以上、剣で迎え撃つしかない。
 私は腰から新たにセイトサーベルを引き抜き、猛然と迫るドルフィレアに真っ向から立ち向かう。

「ダメだ! 避けろ、舞帆ッ!」

 その時、船越君がそう叫ばなければ、私は間違いなくそうしていた。そして、一瞬で彼女に潰されていただろう。

 私が剣を抜いて、正面から挑み掛かろうとした瞬間に、ドルフィレアが急激にスピードを上げてきたのだ。

 目にも留まらぬ――というどころか、何が起きたのかすら、すぐにはわからないほどのスピードで。

 船越君の呼び掛けを聞いて、私は初めてドルフィレアが水圧ジェットの勢いを高めようとしていることと、それによる殺気に気づくことができた。
 おかげですぐさま横に飛びのき、難を逃れられた。

 もし私が船越君の忠告を無視して、がむしゃらに突進していたなら……今頃はドルフィレアの助走付きパンチに潰されて気を失い、意識が戻ったとしたら、病院のベッドの上――だっただろう。

 ……あ、危なかった。ドルフィレアの水圧ジェットによる加速を乗せたパンチが、ほんの数秒前まで私が立っていた場所に亀裂を入れている光景を見ていると、ホントにそう思える。

「――大路郎様に救われましたわね、桜田様。なぜ、外野におられるあのお方に気づけることに、現場で戦っていらっしゃるあなたが気づけないのでしょうか?」

「そ、それはっ……!」

 船越君の方が、実戦経験が多いから。そう言い訳をするのは簡単だった。

 でも、そんなことをすれば私のためにセイントカイダーとして戦い、その跡を継ぐ私のために主題歌まで歌って鼓舞してくれた彼の尽力を、水の泡にしてしまう。

 それだけは……それだけはできない。

「……あなた様のことは、大路郎様からお話を伺った時から意識しておりましたのよ」

 ふと、ドルフィレアが試合前の時の話を持ち出してきた。一体、どういうつもりなのだろうか?

「先日、街中で大路郎様との再会を果たした時、わたくしは大層驚きましたわ。そして、髪を染められ、変わり果ててしまわれた彼の姿に心を痛めたものです。あなた様がどうして、と」

「……!」

 ――そう、船越君は本当は見た目のような悪い人なんかじゃない。
 それは、ドルフィレアの言う通り。不良時代の彼と向き合って、私は初めてその事実を掴んだ。
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