暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 桜田舞帆の恋路
第2話 女の闘い
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理由ってなんなのよ!」

 これ以上恋愛話をされると、こんなタイミングで船越君に私の気持ちが気づかれちゃう!
 私は顔をトマトみたいに真っ赤にしながら、必死に話題を真面目な方向に戻す。

「簡単なことですわ。大路郎様に、わたくしのことを知っていただくためです」

 戦いを望む理由を語る彼女の瞳は、絶対に曲げられない「信念」の色を映し出していた。

「……この長い間、わたくしは海外で必死に勉強し、スポーツにも励みました。全ては、初めてわたくしと言葉を交わしてくださった殿方に、釣り合う女となるため。その成果を試し、そして立証するためには、大路郎様の身近にある『強さの象徴』を打ち破る必要があると考えたのです。強さを証明するには、強い者に打ち勝つことが大切ですから」

「それで、日本に帰ってきたわけか?」

 船越君は唖然とした表情で剣淵さんの顔を伺う。
 全くドギマギしている様子がないところを見ると、どうやら「釣り合う女」という言葉を「釣り合う友達」かなにかと曲解しているみたい。

 ここまで言われて気づかないのは、もはやお約束みたいなものね。

「そうですわ。ですから、わたくしは挑まなければなりません。大路郎様に近しい『強さの象徴』――すなわち、『セイントカイダー』に!」

「……はー、参ったなぁ。美姫は一度走り出すと止まんないんだから」

 拳を握りしめ、クリスマスイブの寒さなんて吹き飛ばしそうなほどの熱いオーラを放つ彼女の威圧感を前に、船越君はやれやれと手を振る。

「舞帆。ご指名みたいだけど、どうする? 『ドルフィレア』といえば、将来的にSランクへの昇進も期待されてるホープだ。無理に戦わなくても俺が頼んでお開きにしてもらえば――」

「そうはいかないわ。その挑戦、受けて立つ!」

「……こっちも何か火が付きだした……」

 負けじと威勢よく宣戦布告に応じる私を見て、船越君が「やってしまった」という顔になる。

 どうやら彼は、私にこういう勝負事には執着しがちな一面があることを忘れていたらしい。

「その言葉をお待ちしておりました、桜田様。後日の正午、『剣淵水族館』にて雌雄を決すると致しましょう」

「望むところだわ!」

 お互いベンチから立ち上がると、正々堂々勝負することを誓って、握手を交わす。

 絶対に負けられない。船越君は私のものなんだから!
 彼のことが好きって気持ちだけなら、私だって絶対に負けない!

 船越君に代わってセイントカイダーになってからまだ二ヶ月しか経ってないけど……それでも、この決闘だけは逃げるわけにはいかないんだから!

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