暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 桜田舞帆の恋路
第1話 衝撃のニュース
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失ってしまう。正直なところ、私には何の魅力もない。

 平中さんみたいに、素直に好意を表せるわけじゃない。結衣みたいに、エ、エッチな迫り方ができるわけでもない。

 文倉さんには、船越君の初恋相手って時点で試合前から完敗状態だし、狩谷鋭美に至っては船越君の唇まで奪われてしまっている。

 私はラーカッサやバッファルダの事件が解決して落ち着いた後、お母さんから戦いの全貌を聞いていた。

 平中さんは自分のバイクでセイサイラーのない船越君を私のところまで送り届けてあげていた。

 文倉さんは、望まない命だったはずの瑳歩郎君を、船越君を元気付けるために産んで連れて来て、彼を励ました。

 ……私は、何をした?

 船越君を守るため、彼のためだと信じて、ラーカッサに立ち向かって――無様に敗れた。

 生裁重装の鎧を傷付けてセイサイラーをボロボロにして、後から駆け付けた船越君の足を引っ張る結果を招いた。

 なんで、私なんかがセイントカイダーに選ばれる予定だったんだろう? 度々、そう思う。

 何の役にも立たなかったばかりか、愛する人の足を引っ張るだけで終わった私を彼が受け入れてくれたのは、奇跡としか言いようがない。

 出会えたのが船越君でなければ、私なんてとっくに捨てられていた。

 だからこそ彼が愛しい。
 彼の支えになりたい。
 そんな私が唯一持てるアドバンテージは、「桜田家」という家名だけだった。

 優しさなんて微塵もない。いつも女の子に群がられる彼に嫉妬して、素っ気ない振りをするばかり。

 そんな私を、彼が好きになるはずがない。嫌われないだけでも、神様に感謝したいくらいよね。

 それでも、船越君が頼れるのは私しかいないって思ってた。けど、それは桜田家の持つ「財力」という後ろ盾があってこその考えだった。

 剣淵財閥のご令嬢の話を聞いて、私はようやくそれに気づいた。気づいてしまった。

 ――私は、船越君の隣にいられる器じゃなかったんだ。

「……そうよね。船越君、すごく喜ぶんじゃないかしら? 私なんかどうでもよくなるくらい、魅力的な人なんでしょうね」

 自分自身でも信じられなくなるくらい、ドスの効いた低い声だった。

『ね、姉さん?』

「ごめん。もう切るね、寛矢」

 聞かれたくない。私の、啜り泣く声は。

 一方的に電話を切る私。最低、本当に最低よ。

 船越君にあげるクリスマスプレゼントを探しに街まで繰り出していた私の頬を、温かい何かが伝う。

 違う、これは涙なんかじゃない。
 私みたいな女が、涙ぐんだってみっともないだけじゃない!
 船越君、きっと今の私を見たら、「面倒な女だな」って思うよね……。

 そうよね、だって、私は――
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