暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第21話 ラーカッサの猛威
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 うっすらと見えた舞帆の表情を見れば、その訳は窺い知れる。

 ――余りの惨劇に、声も出ない、ってか。

 俺は崩れるように倒れ伏し、そこから動かなくなった。

 いや――動けないんだ。動けるはずが、ない。

 考えてみればわかることだ。

 元々、セイントカイダーに変身して戦うこと自体、倫理上「不可能」とされるほどの負担を伴っていた。

 変身しているだけで、油断していると「もう辞めたい」という弱い心が脳波となって働き、変身が解かれてしまうことだってある。

 加えて、今の俺は昼のバッファルダとの戦いで背中を破片でブッ刺され、ただいま絶賛入院中の身だ。

 その傷を押して、俺は痛みを少しでも遮るために着てきたレザージャケットも舞帆に渡し、セイントカイダーの生裁重装に変身した。

 そして生裁軽装になったことで変身自体の負荷は薄れたものの、今度はダメージを受けやすくなり、何度も斬られたあげく、背中の傷を弾薬で吹っ飛ばされた。

 ――普通の人間が、ここまでズタズタにされて立っていられる方がおかしい。
 そして、その「普通の人間」の例には、俺は漏れてはいないだろう。

 ……だが、俺はそれでも立たなければならなかった。
 それが「普通」じゃないなら、「普通」でなくなればいい。

 ――舞帆を救えるなら、俺は人間じゃなくたっていい!

 俺は血ヘドを吐き、ラーカッサを睨み上げる。
 立ち上がろうとする膝はガタガタと奮え、血液不足を訴えていた。

 彼女にさえ勝てば、後はどうだっていい。

 俺は舞帆を守るためだけに、セイントカイダーになったんだから!

 血まみれになり、もはや意識があることすら不思議に思えるような重体。

 そんな状態でも必死こいて起き上がろうとする俺を見下ろし、ラーカッサ……いや、狩谷鋭美は、マスクを外して素顔を見せると共に、怪訝な表情になる。

 鋭い吊り目が特徴の、意志が強そうな印象の少女だった。
 綺麗に整った目鼻立ちに、紺色の髪を纏めたサイドテール。そして、今までのイメージと対を成すような美肌。

 そんな絶世の美女は今、訝しむように俺を見ている。

「アンタ……一体何なの? 何の縁があってそこまで桜田家の味方をするわけ?」

「俺は、舞帆に助けられた……あの娘が助けてくれたから、決めたんだ……! 今度は俺が助けるんだっ……て!」

 縋るように、俺は狩谷に訴える。

 多くを語る気も余力もないが、そこから何かを察したように、彼女は目を見開いた。

「……ふーん、そうなんだ。アンタ、桜田に借りがあるのね」

 それだけ言うと、狩谷は一度俺から目を離すと、憎々しい面持ちで桜田家を睨みつけた。

 ――彼女は反対に、桜田家
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