暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第19話 辱めを受けた姫君
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えない。

「どうした、舞帆! あいつに……ラーカッサに何かされたのか!?」

「あっ……その」

「怪我でもしたのか! とにかく見せてみ――」

 そこで、俺は彼女に伸ばしていた手を止めた。今の彼女の姿に、俺はデジャブを感じる。

 やがて蘇ってくた、過去の記憶。

 ――弌郎にさらわれた彼女を救うために、あいつがいた病院に殴り込みに行った時。

 彼女はその時も、傷付いていた。俺のせいで。

 ……ダメだ。こんなままじゃ、ダメなんだ、俺は。

「……」

 俺はしばらく硬直していた自分の体に命令し、何も言わずに一糸纏わぬ彼女の体にレザージャケットを被せた。

 元々傷の痛みをごまかすために着てきたものであったが、それを抜きにしても今夜これを着てきたのは正確だった。
 わざわざこれを用意してきてくれた達城に感謝しなくてはなるまい。

 そして、自分の中から真っ赤な怒りが噴き上がってくる。
 溢れ出るこの感情がラーカッサの計算なのかはわからない。

 ただ、そんな些細なことなんてどうでもよくなるくらい、俺は何も出来ずにいる俺への怒りで身を焦がし尽くそうとしていた。それだけは間違いない。

「あ、あのっ、船越君! 私なら、大丈夫だから! 今度こそ勝つから! だからあなたはもう――」

 顔を真っ赤にしながら、涙を流しながら、それでも戦う姿勢を辞さない彼女の口を掌で覆い、俺は思うままの気持ちを言葉にした。

 絶対に負けられない。ここまでされて、挑発され、戦うと決めてしまったら。

「ここまでたきつけられたからには、立ち止まる気もいわれもないよな、舞帆」

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